オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

作曲家 三木たかし先生のこと

 忌野清四郎について追悼特集をしていたら、今度は作曲家の三木たかし先生がお亡くなりになってしまった。

「何のために生まれて何をして生きるのか 答えられないなんてそんなのはいやだ」この詞をどんなふしにのせて歌うか?百人の作曲家がいれば、百通りの曲ができるだろうが、そのうち三木たかし先生のようなふしを思いつく人は、おそらく誰一人としていないだろう。アンパンマンマーチは、少々お説教っぽい詞が鼻につくのだが、それを三木先生の思いっきり元気な動きのあるメロディーが、道徳臭を見事にはね飛ばしてしまっている。

「上野発の夜行列車下りた時から 青森駅は雪の中 北へ帰る人の群れはだれも無口で 海鳴りだけを聞いていた」この阿久悠による叙情あふれる詞も、先程のアンパンマンマーチ同様に言葉の切れ目から切れ目までがやたらと長い。三木先生は、この長いフレーズを三連符を巧みに使いながら、石川さゆりに一気に歌わせてしまう。

 こういうふしを書ける人が如何に希少な存在であることか、私たちはもう少し自覚的になるべきであろう。それを歌う歌手の注目度に比べると作曲家のメディアに対する露出度は、いかにも低すぎる。

 案の定我々はあとで思い知らされるのである。古今東西を通じてこのような曲を書けたのは、彼一人しかいなかったことに。合掌。