オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 3

 レッド・ツェッペリンのデビューアルバム!

 60年代ヤードバーズというロックが好きな人には、たまらないグループがあった。そのグループでギタリストを務めた3人は、そのまま三大ギタリストと讃えられることになる。すなわちエリック・クラプトンジェフ・ベック、そしてジミー・ペイジの3人である。このグループは、ヴォーカルに弱点があると言われ、事実その通りなのだが、バンドとして継続するために、またより高い演奏能力を持ったグループを作るためにジミー・ペイジは、あちこちに声をかけ、新たにメンバーを集めたのである。このグループは、それまでのいきさつからヤードバーズの再編成と勘ぐられたり、ニューヤードバーズなどというレッテルを貼られてしまいかねない状況で出発したが、グループは、「ここで成功できなかったら、俺達は鉛の飛行船のようなもの」というメンバーの口癖を受けて、結局「レッド・ツェッペリン」という名前で、離陸した。その飛び方は、飛行船の優雅さとは、うらはらに戦闘機による曲芸飛行のような、すさまじくスリリングなものになったけれど。

 デビューアルバムに名作が多いのは、そこにたどり着くまでの過程が集約されているからだろう。当時としては群を抜いた演奏力とインパクトの強い表現で多くの青少年が、このアルバムに魅せられ、ロックの虜になってしまったことは、実によく理解できる。クリームの名演奏やビートルズの「ヘルター・スケルター」をハードロックの出発点とするご意見もあろうが、より広いファンをハードロックの世界に導いたという点で、レッド・ツェッペリンのデビューアルバムが果たした役割は、とてつもなく大きい。

 発売後40年を経た現在でも、なお「幻惑されて(DAZED AND CONFUSED)」の間奏部分は、とても刺激的な演奏だし、「COMYUNICATION BREAKDOWN」の緊張感は、たまらない。「HOW MANY MORE TIMES」の浮き立つようなベースラインとドラムの絡み合いも、思わずノってしまう。

 その中で、ともすると熱い、思いっきり燃焼系の曲が続く中で、聴き落としてはならないのが、アコースティックギターの使い方や二曲目「BABE GONNA LEAVE YOU」である。ここから聴こえてくる音楽は、叫び声や轟音のハードロックではない。前身とも言えるヤードバーズは、ロックの王道であるブルースに立脚した音楽を志向していたが、ツェッペリンは、ブルースにどっぷり浸かりきってしまうのでなく、ほどよい間合いを保ちながら、やがては自分たちの本当にやりたかった音楽を求めていく。それは、イギリスのトラディショナルであったり、世界各地の民族音楽であったりするわけだが、彼等が、過激な演奏旅行を一段落させて、一息ついた後に出したアルバム「レッド・ツェッペリン Ⅲ」で表現される音楽の芽は、すでにデビューアルバムでも、ちらほら地面から顔をのぞかせているのである。