オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

年末年始は、TV漬けの日々 2

正月は、ふだん忙しくてあまり顔を合わせて話すことがない親類と、音楽談義に花を咲かせる貴重な時間を提供してくれる。その身内とは、私の弟のことなのだが、この弟が私とは実に異なる趣味の持ち主で、そもそもクラシック音楽について、全く理解が及ばない様子なのである。だが、ジャズやロックは聴くので、互いの共通項?としてロックを語り合うことはできても、クラシックの話になると話が全く平行線を辿ってしまうのだ。(ロックと言っても、70年代プログレの話が中心で、イタリアのPFMのよさを弟は、我が息子に力説していたが・・)

 今日も、話の中にホロヴィッツが登場したのだが、どうもクラシックを弾くピアニストの存在価値や演奏の意義が、彼には上手く理解できないらしい。

 そこで私の頭をかすめた一人のピアニストがいる。バッハから現代音楽まで、クラシックからジャズまで幅広い音楽を自由に遊泳し、そのどのジャンルにおいても輝かしい演奏記録を残した人がいる、フリードリッヒ・グルダ。思い出したのをきっかけに、久々にグルダの演奏を聴いてみたくなった。「ノンストップ・グルダ」というCDが楽しそうなので、購入し近々聴いてみる予定。

 グルダ演奏に関する所感は、また折りをみて綴ってみることにして、クラシック・ジャズというジャンルに自分の精神を閉じこめてしまうことが窮屈なら、いっそ自由に飛翔して好きな音楽を好きなように表現すればいいじゃないか!ということをグルダは、その生き様を通して語り、教えてくれたように思う。 そして、その自由な精神のあり方は、弟子のマルタ・アルへリッチという現代最高峰のピアニストがつむぎ出す音楽の中にしっかり引き継がれているように感じる。

 帰宅して、箱根駅伝の結果を見ようと、BSをつけると「世界のドキュメンタリー」という番組に、クラウス・フォアマン(ヴーアマン)が出ていた。今イチ、ピンと来ない方には、ビートルズの「リボルバー」のジャケットデザインを手がけた人物と言えば、伝わりやすいだろうか?

 番組は、フォアマンとビートルズとの関わり(ハンブルグ時代から)を中心に構成されており、ポールやリンゴも、旧友との再会を懐かしむように出演している。しかし、それ以上に驚き、嬉しかったのは元イーグルスジョー・ウォルシュや「ソングサイクル」のヴァン・ダイク・パークス、ドラムのジム・ケルトナー等、ウェストコーストサウンド(バーバンクスタジオ)の大物達が白髪混じりで、このドキュメンタリーに参加し、楽しげに演奏していることだ。

 これらの映像は、クラウス・フォアマンが70歳にして、ようやくサイドマンであることを止め、満を持して!!製作したアルバム「サイドマンズ ジャーニー」の録音風景から構成したものなのだろう。聞こえてくる懐かしい音楽も心に沁みてくるのだが、何よりも音楽を通して、友情で固い絆で結びついたミュージシャン達が、みんな集まってきて、昔を語らいながら(その中に当然ビートルズの話題が含まれるわけだが)演奏している様子が、とてもいい、すごくいいのだ。