オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ATTAC編「反グローバリゼーション民衆運動」を読む

ATTAC編「反グローバリゼーション民衆運動」を読む

二択で答える地球の未来に関する問題を三問考えてみた。

1.これ以上地球上の格差が広がることに反対である。YESかNOか?
2.地球上から餓えに苦しむ人々がいなくなってほしい。YESかNOか?
3.ごく僅かの人が世界中の富を独占しているのは、おかしいと思う。YESかNOか?

いささか確信犯的な問いであるが、恐らくは地球上のどの地点に於いて質問しても確実に過半数以上のYESを獲得できるだろう。そのくらい地球の現状が病んでいることは、皆わかっているのである。ただ、そのためにはどう行動したらよいかが、わからないだけでして・・・。
本書の中に宿命論という言葉が否定的に使われている箇所が見つかる。グローバリゼーションは時代の流れ。80年代末に社会主義が破綻してしまったこと以上、資本主義で経済をコントロールしていくことは必然。これらが半ば常識のように教育されていることを、本書では宿命論的と皮肉っているのだ。しかし、グローバリゼーションには、光と影の部分があり、こと格差という物差しで測ると、所得、教育、福祉等々、様々な側面で格差が現実に拡大しているのだ。
本書は、ATTACが発信してきたテキスト、採択してきた宣言をまとめた本である。「市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション」の頭文字がATTACで、金融界の利益にために民主主義が失った活動空間を奪回することが目的として謳われている。金融取引への課税とは具体的にはトービン税を指すのだが、当のトービン自身がグローバリゼーションに賛同し、ATTACとは反対の立ち位置にいることが、また面白い。ただ原書名は直訳すると「ATTACのすべて」であり、反グローバリゼーションというタイトルとは、かなり温度差がある。むしろ「もう一つのグローバリゼーション」とか「資本主義原理の次に来るもの」などと訳す方が、ATTACの思いが反映できるようにも感じた。地球の未来を考えるきっかけとして、このような運動があることを学んでおくことは、有意義であると感じた。





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