オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

日本の名教師列伝4 福沢諭吉4

日本の名教師列伝4 福沢諭吉4
〜先生たちは日本の未来をどう見据え、語ってきたのか?〜

学問のすすめ」から学ぶ演説のすすめ

福沢先生の名著が、百四十年後の今も多くの人々に読まれている理由は先生独自の語り口にあるように感じている。多くの人々に対して、常にわかりやすく話しかけ、そして大先生にありがちな権威主義を決して感じさせないのは、そのお人柄によるものだろう。「学問のすすめ」の中で演説や弁舌をすすめている。文字のように編集訂正について、何度でも推敲が可能な媒体よりも、まるで動く生き物のようでありその場でストレートに聴き手に思いを伝える演説力を勉強しなさいと言っている。福沢先生の願いに応えて、近代日本にどれだけの演説家が育ったか?については、かなり疑問の余地がある。ただ、現代においても、自分の思いを人に伝える演説力が大いに力を発揮することは言うまでもない。残念なことにそのための学習経験が不足しているのだろう。

学問のすすめ」とポストモダニズム、そして・・・。

ほとんど行き詰ってしまった感のある高度情報化社会、高度科学技術社会において、思想的な視座としてはポストモダニズムが登場した。福沢先生の時代とは、かなり異なる状況下で私たちは生活している。では、近代的な市民主体の社会が全否定されているのかと言えば、私はその論に否と言いたい。確かに右肩上がりで突き進んできた産業経済は、今後横ばい状態となるだろう。国と国との関係や地球規模での環境問題や格差についても、早期に解決を見通すことは、難しいかもしれない。でも、そんな時代であるからこそ、不透明感が漂う時代であるからこそ、もう一度「学問のすすめ」を読み返し、私たちが立っていたはずであるところの場所を確かめるべきではないのか?福沢先生の教えは、今も私たちの心に十分響くものなのだ。








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