オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

623 「ハンナ」という雑誌名の由来をググっていると。

ハンナ・アレントという哲学者の名前に出くわした。なかなか波乱万丈の人生を過ごされた方のようである。そして、思想家関連を検索していると、お決まりのように給水地点のごとく現れるのが、松岡正剛さんのサイト。

松岡正剛 千夜千冊より ハンナアレント「人間の条件」より

ハンナ・アレントの思想の骨格は、世界の危機をどう救うかという点にある。
 そのために、世界がどのような危機に見舞われているかをあきらかにする。ぼくが読んできたかぎりの知見でいうと、アレントが指摘する世界危機は5つほどにまたがる。いずれも20世紀の特質だとされる。
(1)戦争と革命による危機。それにともなう独裁とファシズムの危機。
(2)大衆社会という危機。すなわち他人に倣った言動をしてしまうという危機。
(3)消費することだけが文化になっていく危機。何もかも捨てようとする「保存の意志を失った人間生活」の危機。
(4)世界とは何かということを深く理解しようとしない危機。いいかえれば、世界そのものからも疎外されているという世界疎外の危機。
(5)人間として何かを作り出し、何かを考え出す基本がわからなくなっているという危機。
 これらの5つの危機を突破するために、アレントは「労働」「仕事」「活動」、およびそれらの源泉となる「思考」を原点に戻しなさい、それが「人間の条件」なのではないか、私はそう思うと問うたのである。
 それがヴィタ・アクティーヴァという概念にもなった。
 ここで「労働」というのは、原材料以外に買い物をせずに人間が何かを生み出すための労働をいう。できれば野菜を作りたい、そうでなくとも野菜を入手したらその先は自分で料理をしたい、わかりやすくいえばそういうことである。何でも買えるとおもいなさんなということだ。
 「仕事」は、自分の考えを自分で生み出すことをいう。言葉でも絵画でもよいが、自分が時間をかけたことが世界に何らかのはたらきかけになることをいう。いわゆるホモ・ファーベル(工作人間)として仕事に徹することである。「活動」は自分がそのことにかかわっていることが何らかのかたちで外部化されていくことをいう。
アレントは笛吹きの例をあげて、笛を吹いているあいだだけが活動であるような、そのような活動をもっと徹底して自身の体で認識すべきだと言っている。

アレントの言う五つの危機のうち、(2)以下は実に間近にある。(1)だって沖縄以外の場所にいる日本人だから鈍くなっているのかもしれない。