名作を読む58
ベッケル短編から「音楽師ペレス」を読む
この短編では、修道院のオルガンにまつわるミステリアスなエピソードが語られている。ペレスという盲目の素晴らしいオルガニストが、弾いていたオルガンから感動的な音楽が流れてきた。そのオルガンはペレスの死後も、死者の魂を宿したかのごとく、素晴らしい音楽を奏で続けるという話です。
楽器に関するミステリアスな話は、日本にもあるわけでして…
琵琶の名器「玄象」は意思があるかのような逸話まで残っている。
例えば琵琶を弾くその人の腕前が自分を弾くに値しない人には一切音を出さない、とか。
又、所蔵している人の家が火事になった時、その持ち主が琵琶を探すとちゃんと中庭の火が回らない所にまるで自ら逃げ出したかのように逃れていた・・・とかまるで妖怪楽器さながらである。
国立能楽堂所蔵の能装束に書かれている琵琶はこの「玄象」(絃上)そのものであると言われている。
私の琵琶は、昭和に活躍されたある名人が弾かれていたものを師匠から譲っていただいたものです。幸いなことに音を出してくれていますが、あまりサボると弾くに値しないと見限られて、音が出なくなってしまうかもしれませんね。