オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび112

名作を読む66

ディケンズ作「オリバー=ツイスト」を読む。

主人公オリバーが、泥棒仲間に入り、すりに協力するが逃げ遅れて捕まってしまう場面や泥棒に入った家でも見つかってピストルで撃たれる場面など、とてもリアルだ。作者が貧困に喘いでいた少年期に、見聞きしていた話が下敷きになっているのかもしれない。

この話は、大作家ディケンズ出世作であるが、これでもか!というくらいに悲惨に世の中の闇を

描く前半〜中盤に比して、最後はどうもトントン拍子にハッピーエンドに突き進んでしまう気がする。当時繁栄を極めていたイギリス社会の暗部を書いた時点で、ある程度作者の目的は達成してしまったのかもしれない。

繁栄を享受すること人々の影には、必ずその数百倍の貧しさに喘ぐ人々がいる。主人公は孤児であり、自立生活のスタートは寝る場所が与えられず葬儀屋で棺に囲まれて寝ていた。苦しい人が更に自分より弱い立場の人を追い込もうとする負の連鎖がこの作品にも描かれている。そしてまたもやユダヤ人が悪玉として登場する。ユダヤ人自身もヨーロッパ社会で常に追い詰められ、蔑まされていた人々であることを反証するかのように。

そして、今も世界中に負の連鎖は満ちている。