オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび227

ダライ・ラマ/相馬勝「ダライ・ラマ 語る」を読む

 

現在、中国の最高指導者である習近平は、おそらくは毛沢東に比肩する権力を手中に収めている。少数民族に対する圧力が報じられるたびに、ダライ・ラマ毛沢東のことを、どう思っていたのか? 気になっていた。ところが本書の第一章は、ダライ・ラマ毛沢東を尊敬していた・・・から始まるのだ!人を人として丸ごと見る。澄み切った心の在り方を高く評価し、政治や人間関係のしがらみから生じるドロドロした部分を邪心として感じるのかもしれない。とはいえこれまで散々な目に合わされた相手=中国共産党の首領である毛沢東を評価するのは、徳が高いとはこういうことを言うのだろうか?

ご存知の方も多いと思うけど、転生思想で先代の生まれ変わりと指名された少年が新たにチベットの最高指導者ダライ・ラマになった。仏教に詳しいわけではない私でも慈愛に満ちた観音菩薩の名前くらいは知っている。ダライ・ラマとは、生きたまま観音菩薩になることなのだ。

ラサからインドへ亡命した決死行から、ダラムサラの亡命政府ができるまで、そして延々と続く中国政府との対話による交渉が本書では語られる。ダライ・ラマご本人は、自分は単なる一人の仏教僧であると言う。決して暴力に訴えることのない姿勢は、どこかガンディーに通じる信念を感じます。結局暴力では対立を解決できないし、平和は訪れないのだと。おっしゃる通りであります。