はじめの方に登場するのが、斎藤義龍と伊達政宗。二人とも父親を殺している。一介のしがないオヤジとしては、息子に殺されたらたまらないけど、時代は戦国時代の話。伊達政宗は、眼をえぐり取られて独眼だと思っていたら、そんなことはなくて眼が出ていてそれを隠したかったらしい。何かと目立ちたがりで派手なパフォーマンスという印象だけど、本書ではそれは自己肯定感の低さの裏返しだと語られる。
続いて、徳川家康。忍耐を重ねた一生だが、まぁ、晩年は暴走老人。人質生活の影響で身内であって人を信じることがなく、身内でも長男殺しが平気だった。もちろんそれを命じた信長は酷い男だが、逆らう術がなければ従ってしまう。何だか某大国に尻尾を振っている日本の総理のようだと対談の話題になっていた。
中野さんの論法にしばしば登場するのが、脳から分泌されるホルモン物質の名前。よくわからないので、そういうものかなぁと思ってしまうのが我ながら情けない。
本書ではサイコパスの典型として日本で最も多くの人を虐殺した織田信長が登場する。世界でCEOの20%がサイコパスという話が出てくるが、恐れを感じず痛みがわからない人でなければ、組織体を率いることができない時代になっているとすれば、かなり恐ろしい。