オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび329

雨宮国広「ぼくは縄文大工」を読む2

 


前回、縄文小屋を建てた著者は、今度はさらに時代を遡り旧石器時代30000年前の丸木舟づくりに関わる。台湾から琉球諸島黒潮を横切り丸木舟で渡ってきたという仮説の検証なのだ。

著者は主に住宅施工に関わってきた大工であり、船大工ではないが、縄文時代の大工道具について、誰よりも詳しい。しかし作ろうとしているのはどこにも実例がない外洋航海用の丸木舟。舟は原木が杉の巨木であったことからスギメ(=杉の女神)と名付けられた。さまざまな試行錯誤を経て、スギメは航海に成功した。

最終章は、三畳の縄文小屋で実際に暮らしている様子が語られる。火力は囲炉裏、食材は米を食べず木の実中心で時々肉。黒曜石で裂いた動物の毛皮は衣服になるのだろう。ベッドは丸太を6本敷いたもので、普段は裸足で半袖生活。裸足になってから冷え性が改善したらしい。インフラとして電気・ガス・水道に頼らないとどうなるのか? を実践しているのですね。ちょっと変わり者のように受け止められることもあるだろうけれど、元々人間が持っていたはずの生きる力を確かめていらっしゃるのだと感じました。