オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび340

さだまさしまほろばの国で 終章」を読む。

 


毎日新聞の連載コラムをまとめた本なのだけど、戦争の愚かさ、とりわけ今世紀初頭のイラク戦争に対する痛烈な批判が原稿を埋め尽くしている。そう。サッダーム・フセインを超悪役に仕立て上げ(もちろん彼の悪行の数々は称賛されるべきではないが)、結局大量破壊兵器など見つからずに戦争は終わり、イラクという国が実質破壊されてしまったのだから。

新聞のコラムなので、話題はその前後に起きた事件にふれることが多い。少年犯罪について、まっさんは心の制御装置について言う。「その制御装置は教育でしか身につかないもの。元々が動物だからだ。では教育の最も大切な道具は何かというと、それは言葉だ。言葉はそこに単体で存在してもあまり意味がない。誰か信頼できる人の体温を含み血が通った時に、つまり会話の中にこそより強い力を発揮する。・・ただ話せば良いわけではないだろう。言葉に最も大切なのは言葉の中に含まれる愛だ。愛のない言葉は、雑音の一種に過ぎない。」言葉を伝えることを生業にしてきたさだまさしさんの言葉は重く響く。

ところで人々の生活・日々抱く感情を共感的に歌う音楽を、フォークソングと呼ぼう。表現者の心の中で多くの人々と共有したい音楽がフォークであり、自分の先鋭的な思いを音にぶつけるのがロックとすれば、さだまさしの音楽は、その二つの要素の間で振幅していると思う。