オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび405

幕内秀夫「粗食生活のすすめ」を読む

 


著者によれば「FOODは風土が決める」そうで、日本人は日本が育んできた伝統食を大切にするべし! らしい。

筆者の主たる攻撃対象は、油と砂糖、マヨケソ=マヨネーズ+ケチャップ+ソース。バンのような粉食よりもご飯の粒食が良いといい、減塩にあくせくしている人々に、ある程度の塩分はよいとのたまう。どうもこの手の本は、極論を掲げて独自色を打ち出す傾向があるけど、この本も例外ではない。

日本人の食事が欧米化カタカナ化した昭和30年代以降の食生活を憂いているのだが、私も含めてその世代はまだ多くの人が元気なので、日本人の食生活が変化したことが寿命に及ぼす影響は検証されていない。もし世界に冠たる長寿国である日本の平均寿命がこの先急激に低下することがあれば、著者の憂える危惧が現実化したことになる。しかしドンピシャ世代の自分はその結果がわかるまで生きていられるのかどうかわからない。

最終章で学校給食の現状にふれている。私は小学校の教員なので、給食を食べてきた回数はとても多い。しかもまだ続けている。時々不思議な取り合わせの献立が登場するが、これが子どもの記憶に刷り込まれる。しかし出されたものにケチをつけるわけにはいかず、検食担当の管理職でもレシピを見ながら、野菜の切り方などについて気づいたことをコメントするのが、関の山である。どこで決めているのか? 栄養士の先生方が集まる献立選定委員会なわけですね。筆者の憂い同様栄養価の計算が合っていればそれで○という献立づくりから前進してほしいと願うばかりです。給食の献立には大人になっても忘れられない強烈なインパクトがあるのですから。

読後感としては、安易に美味しいもの・甘いものに手が伸びている日常だけは見直さなければいけないと感じた次第。