横山泰行「のび太という生き方」を読む
ドラえもんがポケットから出してくる「ひみつの道具」、一時はのび太の悩みが解決したように見えますが、結局はうまくいきません。そりゃ、そんな便利なアイテムに頼ってばかりじゃいけないよね。人生そんなに甘くないでしょ。ボクは今までそんな読み方をしてきました。
けれど、著者によると大切な場面はその後なのですね。結局は自力で自分で始めないと解決できないことに気がついたのび太の姿が、著者によればドラえもんの真のテーマなわけです。今さらそんなこと言われなくてもわかっとるわい! って感じありですね。
要するにこの本は、のび太の名前を借りた生き方啓発本の匂いがするのです。余計なお世話と感じてしまうのは、なぜでしょうか? ステレオタイプになっていますが、子どもたちは自分の中にジャイアン的な部分、スネ夫的な部分、そしてのび太の部分を見つけながら読んでいるわけで、ドラえもんを道徳の教科書のように価値観を伝えるメディアとして読んではつまらないと思うのです。漫画は所詮笑ってナンボですが、道徳の教科書で大笑いする子はいないでしょう。
せっかくですから、ボクとのび太の共通点を探すと、直感とか思いつきで行動をスタートさせる点が思い当たります。「オヤジのあくび」だって、元はただの思いつき。ボクの場合はドラえもんというサポートがいないので、地味にトボトボやっているわけですが、それでも何とか続いています。読んでくださった皆様が、ボクにとってのドラえもんなのでしょうか?