オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび453

ニャロメの「おもしろ生命科学教室」を読む

 


この本は昭和60年が初版の角川文庫でありまして、今から37年前の本です。このシリーズは、数学教室と宇宙論を持っていて、その頃教えていた小学校高学年の「子どもたちに科学に興味を持ってもらえたらいいな」と言う思いが高じたのだろう。その後ドラえもんも学習シリーズを始めて、そちらのシリーズは大手学習塾も監修していたせいか、よく読まれて今に至っている。けれど読者を小学生と限定しないで、興味の赴くままに科学の世界を紹介している点では、赤塚不二夫のこのシリーズに軍配が上がると思う。

私が生命科学と聞いて思い出すのは、高校時代の生物の井上先生。先生は教科書に頼らない授業を展開され、DNAのことなどを熱く語られていた。まだ70年代前半の話。ダメな教え子のボクには高尚すぎて、しっかり落ちこぼれており、国公立大学を受けるには理科も必要だったのだけど、生物はとても選択できるレベルではなかった。今にして思えばもっと真剣に受講すればよかった。

本書は1985年6月の初版で、日進月歩の分子生物学の最先端は遥かに先へ進んでいる。だから進化論を始め、分子生物学遺伝子工学がどのように発展してきたのか、その概略を知るのには適しているだろう。おそらく現在の生物の授業は、私が高校に通っていた頃とは比べ物にならないような講義が行われているのだろう。

もう一つ、本書にはウィルスの話が登場する。コロナウィルスが世界中至るところで猛威を振るっている今「ウィルスって一体何だったっけ?」と感じている人には、ちょっとした解説が書いてある。

ニャロメ博士の講義を赤塚マンガのキャラクターが、ギャグでまぜっ返す。そんな本ではあるけれど、生物に興味を持ち始めた子どもたちへの入門書としては、まだまだ活用できる部分があると感じました。