佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む1
タイトルの付け方は「?」な感じを抱かせる。けれどどんな状況下でも、人は食べ物のことを考え続けている。むしろ極限まで追い込まれているからこそメシのことが最重要なのだろう。テレビにもよく登場した筆者だけど、テレビからは香りや食感は伝えにくい。だからこそ文字に書かれて本書ができたらしい。
まずは、冒頭のエピソード。1982年ソ連が侵攻していた当時のアフガニスタンに、筆者は反政府ゲリラ勢力の一員として入国し、バーミヤンまで行っている。雪中、富士山くらいの峠を越えひたすら歩くのだ。ダリ語という現地語や凍りついたナンを主食とする様子が語られているが、筆者は帰路やはり徒歩で戻る途中肝炎を発症して、置いてきぼりにされてしまう。言葉が通じない怪しい存在はモスクに閉じ込められてしまうが、翌朝一転して医者を呼び、置き去りにした隊長も迎えに来てくれる。
テレビで報道されている情報は、本当に現実の一部分にしか過ぎないことが、少しずつわかってくる。アフガニスタンだから当然泣く子も黙るタリバンが出てくる。筆者はアメリカが支援する以前の北部同盟に帯同して、戦場を取材しているのだが、100m先にロケット弾が爆発するような最前線で兵士とチャイを飲む場面が描かれる。まさに「腹が減っては戦が出来ぬ」そのものであります。