オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび529

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む3

 


教会とゴスペルの章を経て、本はカントリーミュージックへ。郷愁を歌った田舎とはどんなところだったのでしょう?

洋酒好きならバーボンを飲んだことがある人は多いでしょう。トウモロコシの香りが素敵ですが、元々は密造酒で、他に現金収入を得る方法がない土地=山国アパラチアで作られていたのですね。

アパラチアには、スコットランドアイルランドからの移民が多く、彼らの故郷の音楽が影を落としている。やがてミンストレルショーがやって来る。心をほぐす娯楽の時! フォスターが多くの名曲を提供している。けれど実際にはフォスターは南部に行ったことがなかった。

山の厳しい生活から抜け出そうと、炭鉱や繊維工場で働き始めても、そこにはもっと厳しい借金まみれの生活が待ち受けていた。「こんな生活なら田舎に帰りたい。」その願いにヒルビリーカントリーミュージックは根ざしている。田舎を懐かしむ人々に、レコードそしてラジオの時代がやって来る。本書ではその時代に活躍したカーターファミリーとジミー・ロジャースの音楽を紹介している。

ハンク・ウィリアムス、ビル・モンローのブルーグラスと音楽は変化進化を続けていく様子が語られ、エピローグに登場するのが、ボブ・ディラン。「特定の役割を拒否する自由がなければ、いかなる自由もあり得ない」はディランの模索してきた生き方を表している気がします。そして本書は、ディランがデビュー以来一貫して、ミシシッピーデルタから生まれたロバート・ジョンソンの音楽から目を逸らしていないことを強調して終わる。ルーツを辿る過程無くしては自分の立ち位置を確かめることができないとでも言うように。

私個人は、合唱と並行して薩摩琵琶を嗜んでいるのですが、日本人としてのルーツミュージックは、どこにあるのか? 琵琶を弾きながら思いを巡らせていきたいと思います。