オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび565

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む3

 


世界史の学習法は人それぞれだろうが、勉強の入口は世界地図を頭に思い描きながら、その地域の統治機構がどのように移行していったのかを辿る方法だろう。だから○○朝ペルシアだとか△△王国など覚えるところから始まる。

ところが本書は、その時代にその地域で演奏されていた楽器にスポットを当てているので、その時代の支配者だけでなく、階級、宗教、民族など音楽のバックボーンになっている状況まで語っている。

また私が3月までやっていた仕事の話。「音楽室は時々祝祭空間になるべき」とかなり本気で考えていたのですが、現状それなりにお祭り騒ぎになるのは4年生の「おどれサンバ」や3年生「まほうのチャチャチャ」の授業でした。4年生の子どもたちは始め教材が「マツケンサンバ」でないことに少しがっかりするのですが、歌+アゴゴー+シェーカー+フロアタム+掛け声、踊りOKのスタイルは進行伴奏役の私もかなり楽しい。3年生は、初めてラテンアメリカのリズムを体験するのですが、マラカス+ギロ+クラベスのリズムで次第に盛り上がってくる。筆者の言葉を借りれば「神様、見てください! ほらこんなに元気に楽しく踊っていますよ」意識がラテン音楽の真骨頂なのかもしれない。

本書にも、もちろん中南米アメリカの楽器と音楽が事細かに紹介されている。ところがあの国あの地方と言えば、あの音楽あの楽器だよねという先行イメージを払拭するかのように、聞いたことがない楽器と音楽が延々と羅列される。それはその他の地方についても同様で、一般的なイメージや偏見を疑ってかかり、結果知識が技能を拡大していくのが筆者のスタイルなのだろう。

最終章で、伝統音楽の未来について語っている。何を引き継ぎ、さらに伝えていくべきか? そしてそれは大勢にウケることを最優先する商業主義とは、やはり一線を画しているように感じました。

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