桑田佳祐「ポップス歌手の耐えられない軽さ」を読む
桑田佳祐さんは茅ヶ崎で育ち、ボクは隣町の辻堂で育った。時代も重なっているので取り上げている音楽体験や、地域の雰囲気をボクも味わっている。だからこそかなり共感して読み進めることができる。
この本は週刊文春に連載されたエッセイが収録されているのですが、コロナ禍でライブコンサートを始めとする音楽活動が制限され、自宅に籠る日々に書かれています。コンサートで発散しているエネルギーがこの文章に投影されているかは、よくわからないのですが・・・。
読んでいて嬉しいのは、桑田佳祐と同世代の感覚。山下達郎が「ゆらぎ」を気にしていたり、桑田佳祐のマイクが1947製のアナログだったりする。結局「音楽は理屈じゃないのよ!」とボクもいっしょに叫びたくなる。
だんだん懐古趣味が頭をもたげてきて、茅ヶ崎の北京亭やみなみマートが文中に顔を見せると嬉しくなってしまう。ボクの高校は田んぼに囲まれた丘の上にあって、周りに仲間としけ込む食堂なんてなかったから、相模線に乗って二駅の茅ヶ崎駅前でワイワイやっていたのだ。そして藤沢青少年会館! 図書館をに行った時に昼飯場所としてよく利用していました。何だか騒がしそうなイベントをやっていて、その一群にサザンオールスターズが混じっていたのですね!
個人的な思い出は隅に置くとして、ボクにとってトリビア的に「へぇ〜」だったのは、「あみだばばぁの唄」を作曲したのは桑田佳祐さんだったのですね。あみだばばぁって何それ? という説明さえ必要な時代かもしれません。ちょいと驚きでした。
一番歌が上手いって何だ⁉︎ のところで尾崎紀世彦さんとちあきなおみさんを推していたのは、とても嬉しかった! 琵琶の師匠がボクを支部長に据えようとした時に「ボクより上手い人がいらっしゃるから」とささやかな抵抗を試みたら、師匠曰く「上手いって何だ!」と曰われたことを思い出す。確かに人の心に響いてナンボの世界だけど、上のお二人は時代を超えて歌声が残るとボクも思います。
港南台アカペラシンガーズでオリジナルの「救い」という曲を歌っています。リズム・メロディー・ハーモニー、音楽にはなんらかの救いがあるという中身なのですが、この本の最終コラムで桑田さんがまったく同じことを言ってます。単なる偶然ですかね?