オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび591

西郷孝彦「校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール」を読む

 


たったひとつの校長ルールとは「子どもたちが幸せな3年間を送ること」

心に壁を造って拒否しない。一人ひとりに安心できる居場所を提供する。何よりも教師であることをかさにした上から目線の管理的な指導を排する。本書には兎角偏見まみれになりがちな教育現場への処方箋が書かれています。

教壇を去った私ですが、子どもたちへの声かけは野球のバッティングに似ていると思っています。3割打てれば一流打者ですが、裏を返せば10打席のうち7打席は凡退しているのです。子どもたちの心に響く言葉を探す作業も似ています。なかなか本人の琴線に触れる声掛けは難しい。唯一打者が投手の癖を掴んでヒットに結びつけているように、か子どもをよく観察することで、その子の投げてくる無言の心の動きが見えてくるのではないでしょうか?

「何のために勉強するのか?」多くの若者、いや大人にも突きつけられているこの疑問に対して「悪いやつにだまされないようにする」「無知による差別意識をなくす」と答えています。ボク流に言い換えれば、それは「自由を獲得するため」だと思います。

この本には「ふつうの」中学校ではあり得ない光景がたくさん登場します。例えば、廊下を使って麻雀! 子どもたちがやってみたいことをできる限り実現させたいという思いに溢れています。けれど自分の経験を踏まえて言えば、その活動に関わっている教員自体もそれを楽しんでいるのです。さらには子どもが今まで見せなかった変容を示す。それこそが教員冥利に尽きるということだと思います。

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