オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび596

坂口恭平「自分の薬をつくる」を読む

 


この本は、さまざまな悩みを抱えた患者さんを診察するような形で進行する。もちろんその全てが演技であり、周りからも丸見えなのだ。

何人目かに、1ヶ月に一度死にたくなる患者さんが来て、生歌をつくることを薦める場面がある。トンネルの中で自分の内側を見つめている自分を「つくる」ことでアウトプットしてみよう促すのだ。

ミュージシャンとしてアルバムをつくってみたい人に「企画書」を書いてみるという提案がなされる。突然ボク自身の話になるけど、港南台アカペラシンガーズでは、今までメンバーにいろいろな提案を受け入れていただき、それなりの活動を展開してきたが、企画書を書いたことはなかった。また教員を辞めたことで生じた時間を、自分の琵琶演奏のために活用しようと思っているけど、これも企画書があるといいのかな? 妄想やアイデアをとりあえず文字に落としておくのはいいかも。企画書だけならすぐに夢が具体化するし、実践が伴わなければタダでできる!

「自分に深刻になるな、作品に真剣になれ。」ありとあらゆる表現に評価がもれなくまとわりついてくる世の中なのは、仕方がない。けれど評価されたのは表現技能であったり、方法であったりするだけなので、自分自身なわけではないのだ。この切り替えが意外と要領よくできないで、自分を追い込んでしまう人がいそうな気がします。

最後の方で「窮屈さを感じたら逃げる!」と言っています。しかしこれができないからみんな困っているわけでして・・・。ただインプット過剰で追い込まれている状況を変えるには、自分の内側からアウトプットしていけばいい。教育=educationの元の意味は、外へ導くでして、それがまったく逆のインプット先行になっているところがよろしくない。

この本を手に取り、少し自由になれたと感じたら、それで筆者の願いを受け止めることができたのかもしれない。

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