オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび617

畑中圭一「紙芝居の歴史を生きる人たち」を読む1

 


ボクは20代の頃、児童演劇評論家 富田博之氏のところで児童劇用の脚本を勉強していた時代があるのですが、その頃紙芝居について富田氏が「戦争中の活動について、戦後きちんとした総括がなされていない」と発言されていたことを覚えています。

まず紙芝居と一口に言っても、色々ござんす。この本で取り上げているのは、路上や広場で子どもたちに水飴を売りながら演じた街頭紙芝居。もはや朧げな記憶しかないけれど、ボクより少し上の世代であれば覚えていらっしゃる方もいるでしょう。

紙芝居用のケースに入れて子どもたちの目を集中させて演じる紙芝居の前は、立ち絵。今のペープサート劇のような方式で演じていたらしい。「はじめに」で書かれていますが、路上という解放区(その分巡査との軋轢はあったようですが)。水戸黄門のように必ず「正義が勝つ」パターン。お客さん=子どもたちとのやりとりから生まれる双方向性。これらが紙芝居の魅力を形成していたのでしょう。

本職の大部分は、演じていた方ご本人からの聞き書きで、当時の様子がよくわかります。草創期の紙芝居屋さん森下氏によると職人でも一日働いて一円稼ぐのが大変だった昭和初期に紙芝居屋は三円〜五円稼いだそうです。

それで紙芝居屋が増えるわけです。

紙芝居と言えば「黄金バット」、「黄金バット」と言えば加太こうじ・・ですが、もちろんその他にも多くの子どもたちに親しまれた名作は数多く、中でも「チョンちゃん」は二十五年にわたって描き続けられ、総数五千二百巻に及んだそうです。凄い!

 


つづきは、また明日

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