例のカウンターテナーにチャレンジ?している室内合唱団で、再来週の練習の代行を仰せつかった。自分のパートだけでも、まだおぼつかないのに、全体の状況をとらえて練習するなど・・・もう少し正しい人選をすればいいのだが、団長のちょっとした気まぐれでこのような次第となってしまった。
歌っているのは、モンテヴェルディのマドリガル「アリアンナの嘆き」で全4曲中3曲目まで音取りが進んでいる。窮地転じて好機となすではないが、この機会に合唱団としての課題や取り上げている曲そのものへの理解を深めてみたいと思った。
この曲のお披露目は、秋の区の音楽祭である。区内に同傾向の室内合唱団はないので、かなり異彩を放つことは疑いないところだ。およそ500人ほどの聴衆のほとんどがこの曲をはじめて聴くことになるだろう。ここが演奏上の課題の一つ目だと思う。
400年前に作曲された聴いたことのない合唱曲を聴いた感想が、「?」になるか「!」になるか、イタリア語によほど精通していなければ歌詞の内容は、すぐにはわからない。ではこの曲を通して中世音楽の楽しさ・美しさを伝えるミッションを果たそうとするならば、聴き手の心に入っていくアイテムは、まずは「おいしい声」であろう。どんなに素晴らしい曲を歌っていても、肝心の声が暗くては何もならない。日本人がイタリア語を歌うハンデキャップはあるが、お互いに母音が明るい言語という共通点はある。年配者の多い合唱団だが、まずはおいしい声を引き出す努力を工夫してみたい。
次は、合唱団の生命線とも言うべきハーモニーである。ピアノという楽器がまだなかった時代の曲であることを逆手にとって、純正調のハーモニーを奏でたい。支えが弱いせいか、フレーズの終始で和声が決まらないことが多いので、そこが課題となるだろう。