日本に住むテキサス州出身のアメリカ人が作った映画で、タイトルは在日米軍に対する日本の思いやり予算の事を指している。
この映画は、目の前の現実的なテーマともっと大きなテーマの二つを同時に問うているように感じた。目の前の現実的なテーマとは、私たちの税金から米軍に対して支払われているお金、映画上の計算では8000億円の問題である。
こんなお金があるなら被災地支援に回すべきというご意見は最もなところだが、こんな予算の使い道しか思いつかない政治家を選んだのは、誰かと言えばそれも私たちなのである。つまり課題問題が共感をもって共有できていないし、恥ずかしいくらいに大多数の国民が無関心なのだ。
辺野古を始めとする沖縄の基地問題は、かなり報道されているけれど、だからと言っていわゆる「本土」が沖縄の苦しみを分かち合おうという論法になると及び腰になってしまうのは、原発が自分の街に来たら、急に反対し始める姿勢に似ている。問題の本質を自分事として引き寄せて考えてみる習慣が、未だに根付いていないのだ。
私も還暦を過ぎたので、このような現実を次世代に無反省のまま引き渡してよいのか?大いに疑問を感じる。対案が出しづらい弱みを上手く利用されている気がするけれど、高い税金ですごい戦闘機を買う時代や米軍基地の存在によって周辺国を適度に威嚇する時代は、終わらせなければいけないと思う。
そこで大きなテーマとしての、反戦・平和の話になる。以前もブログに書いたけれど、憲法9条は、現実との違和感が拭えないとはいえ、世界に掲げた平和の旗なのだ。その平和の旗をちょっと薄汚れてきたからと言って、スルスルおろしてはいけない。血なまぐさい、弾痕が残る旗は、要らないのだ。私たちに大きな義務があるとすれば、それは平和な世界を次世代に渡す義務である。映画の後、もう一度肝に銘じたい。