オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび47

名作を読む22

ボッカッチォ作「デカメロン」を読む

この寓話は、イソップ物語同様に多分に教訓的である。そしてアラビアンナイトのシェラザードが千夜一夜語り尽くしたスケールに比べると、小規模であるけれど、18人の男女が一人一話ずつ10日かけて語ったという構成になっている。

寓話に、いなくちゃ始まらない悪者たちやちょっと間が抜けた人、反対に善人や知恵者が登場して、どことなく民話的な雰囲気を漂わせている。話のオチは、いわゆる「正義は勝つ」的にハッピーエンドなのだけど、この水戸黄門流のお約束は読んでいて、安心なのですね。

作者ボッカッチォはフィレンツェの人で、彼の大先輩格に「神曲」を書いたダンテがいた。ボッカッチォが「神曲」を高く評価したので、ダンテとこの作品が西洋文学の金字塔になったらしい。本人のボッカッチォは自由人で作品の中でも教会に対して、その非行を平気で暴いたので、かなり痛烈に批判され、ピンチだったようだ。それでも表現者として書きたいものを書き続けるのは、エライ。まったく権威に媚びない大した人である。