鴻上尚史「演劇入門」を読む2
インタラクティブ。双方向性という意味の言葉が頻繁に文中に現れる。私は今小学校で音楽を教えているのですが、担当している学年は3〜6の4学年9クラスです。同じ教材でもクラスによって反応は微妙に違います。今日はあまりのってこないなぁと感じた時が勝負だと思っています。演劇やお笑いもそうでしょう。だから面白いのです。
ちなみに著者は演出家ですが、ダメ出しという言葉を嫌っています。英語ではnoteと言うそうです。いいことも悪いことも演出家が記録したことを言いますよ! なのですね。
演者や教師が息を吸うと観客や生徒も息を吸う。呼吸が生表現生鑑賞では共有できるのですね。演劇も音楽も授業も、たった一回、今ここでしか体験できない表現鑑賞の共有が醍醐味なのです。DVDのように巻き戻しや一時停止ができないのです。それは人生に似ているとさえ、著者は言います。
スマホ時代に入り、「より多くの人へ、より早く、より正確に」を目指している今、演劇は「より親密に、より着実に、より創造的に」を目指すと言います。これはその他の全てのライブパフォーマンスや生表現にも当てはまりそうです。記号化された人間でなくて、生身のリアルな人間との関係を感じることができるのが、演劇でありライブなのです。