オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

運慶に魅かれて1

運慶に魅かれて1

日本の彫刻で、最も素晴らしい作品を問われれば、迷うことなく興福寺北円堂の無著菩薩像と丗親菩薩像を答えるだろう。もう40年近く前、学生時代に気の合った仲間と奈良を旅行した際、興福寺に立ち寄った。自身も彫刻家である友人のSが、しきりと無著菩薩像と丗親菩薩像の素晴らしさを説くので、まじまじと拝ませていただくと、そのリアルさはもう圧倒的で、一目でこの像のファン?になってしまった。
音楽については、したり顔で鼻につくネタをブログにアップしている私だが、美術に関しては、少々なりを潜めている。そもそも私自身の成長がアンバランスで小さい頃から、じっとして集中を維持しなければならない図画工作が大の苦手だった。下絵段階では、まだ作業ができるのだが、色をつけ始めるともうダメで、上手く行った試しがない。
さらに追い打ちをかけるように、その頃神奈川県の中学校ではアチーブメントテストなる到達度?を調べるテストが行われ、それが高校選択の基準になるという恐ろしい試験があったのだが、その美術のテストができなかった。自分では普通に感じたままを答えているつもりなのに不正解なのである。
また私の父親は造船会社の設計を業にしていた人で、図面屋なだけに、絵はやはり上手かった。小さい頃アニメのキャラなどをさらさらと描いてくれたことがあるのだが、子供心にそれはとても上手く、自分の下手くそさが恥ずかしかった。
結局、そのような体験が重なって美術コンプレックスのようなしこりが心の隅に鎮座してしまったのだ。

ところで今回おもむろに運慶について書き始めたのは、BSジャパンでCGで蘇る運慶の彫刻を特集しているのを見たからである。CGでの再現を試みたのは、東大寺鎌倉時代から室町時代まで大仏像を取り囲むように置かれていた四天王像のうちの増長天である。室町時代に、松永弾正久秀という馬鹿者が東大寺を焼く暴挙にでなければ、13mに及んでいたという仏像を現代でも拝めたと思うのだが、歴史はお馬鹿さんによる停滞や破壊と天才による革新と創造によって揺れ動いているわけで、致し方ない。

これを機に運慶に関する本を読んでみたくなり、本を発注してみた。その読後感については、また後程。





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