佐藤勝彦 「眠れなくなる宇宙のはなし」を読む
この夏は、満天の星空、それが叶わぬならプラネタリウムでも見に行きたいと思い、宇宙の本を探していて見つけた本。
著者は世界的な宇宙物理学者だが、語り口は極めて優しくスラスラ読める。
話は、古代の人々の宇宙観から始まるが、私には年周視差やスペクトル分析、ドップラー効果などの話に進んできたあたりから俄然面白くなってきた。最新かつ極めて刺激的なブレーン理論までを紹介したところで本書は終わっているが、10年後20年後にはまったく新しい理論で書きかえられているかもしれないのだ。
一昔前、赤塚不二夫がニャロメの宇宙論という本で、子ども向けにわかりやすく当時の宇宙論をわかりやすく紹介していたのだが、その頃は宇宙の年齢は180億年くらいとされていた。それが今では137億年とかなり正確に語られていること自体がすごいことだと思う。宇宙の膨張もすごい速さだというが、宇宙論の進化も大変な速さなのだ。
本書はていねいに毎夜一章ずつ、一週間で読み終えるように書かれているが、面白過ぎて数時間で読んでしまった。何だかとても美味しい料理を一口で平らげてしまったようで、妙なもったいない感じが残っている。
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