オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび364

名作を読む90

A・フランス作「少年少女」を読む

 


ありふれたと言えば、たしかにどこにでもあるような子どもたちの様子を描いた作品です。

「学校」という話にローズ・ブノアという子が出てくる。算数は苦手みたいだが、動物を愛し、彼らの言葉がわかるつもりでいる。こういう大人になることでほとんどの人が失ってしまうファンタジーは、子どもの特権だと思う。最後のギャベルの母と子の会話がいい。「いい点数は、なんの役に立つの、おかあさん?」「いいお点をとったからって、すぐに役に立つというようなものではありませんよ。・・・大きくなれば、いちばん尊いご褒美は、ただ名誉だけで、別に得にはならないだってことがわかるでしょうよ。」

この短編集には、人の道を説く道徳のテキストのような調味料が入っている。そもそも人の道とはなんぞや? とか、価値観の押し付けじゃないか? とか、感じる人もあるだろう。けれど現在のように、これだけ何でもありのモラルハザードの時代になってしまうと、と真・善・美については、とりあえず伝えておいた方がいいのかなと、そんなことを考えながら読みました。