オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび488

紙屋高雪「どこまでやるか、町内会」を読む

 


自治会は、ゴミ、防犯防災、イベント、調査など、実に多くの活動を行政の下請け的に担っている。しかも無報酬。

本書の前半は、自治会・町内会の活動が「本当に法律の裏付けがある義務なのか?」を検証しています。すると厳密には義務などほとんどない事が明らかになるのです。また現在継続している活動=例えば見守のような互助や防災訓練が実際の災害時にどう機能したのか? 町内会として役立った実例が少ないことを語ります。

また、なぜ町内会で関わろうとしないのか? 子どもの貧困対策=子ども食堂や無料塾について、町内会が及び腰である実態を書いています。

ここまでを読めば、なんだよ、そんなにシャカリキになって頑張ることないじゃん! と読者は思うわけです。たしかにその通り。けれど筆者は、義務的にやらなくてはならないことはなくても、大切な意識があるという。それはお隣さん意識、共助ではなくて近助。

その後、行政の下請けではなく、しっかりとモノをいう。不合理な負担は避ける、新しいゆるやかな町内会像が語られていきます。具体的には2つの活動やイベントを一つにするおまとめ事業。

さらに町内会長の発言行動が住民の民意を代表していることを裏付けるシステム、不正の歯止めとなる会計の透明化、しっかりやればそれなりに負担になることを、筆者は手続きの簡素化という裏技? で切り抜けようと言います。総会は数年に一度で、普段の年は班長会議。会計は出納簿だけとして、いつでも公開できるようにする。

最後に行政からの「依頼」について書かれています。町内会が任意団体である以上、やれること、やりたいことだけをやればよい。無理な要請は断ればよい。なるほどなるほど。