オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび553

小林よしのり「新戦争論」を読む。

 


アフォリズム。警句を並べ立てて読者を煽り立てるのは著者の得意技だ。目立ってしまうが故に、対立する人々に事欠かずネトウヨを始め、氏の意見から派生する様々な動きとの軋轢を体験的に描いている。けれども戦争の反対は話し合い、平和の反対は無秩序・混乱であると書いてあると「それはそうですね」と思わず頷きたくなってしまう。

氏の発言にふれた方ならご存知でしょうが、彼はアメリカ合衆国が嫌いなのだ。保守を自称する人々は多いが、親米派が多数を占める中で独特です。イラク戦争の失敗を例に、アメリカ合衆国、当時イラク大量破壊兵器があるという偽りの情報を元に戦争を始めたネオコンを弾劾する。

著者によると歴史に学び国を守る判断ができるのが保守であり、特定のイデオロギーまたは価値観で国をつくる動きを設計主義と呼んでいる。民主主義はそれぞれの国の歴史文化にふさわしいスタイルがあるのだとも言う。では世界中で同じ方向を向きつつあるSDG sは設計主義ではないのか? 資本主義を設計操作しなければならない危機感からこんな事態に陥ったのではないか? まぁ、その件は本書のテーマから離れてしまうのだろうけど。

氏の心情を愛国心と括ることはできるだろう。日本ではあまり区別されていないが、パトリオティズムナショナリズムを、慎重に使い分けている人々がいることに注意を払いたい。個人的にはナショナリズムには統治機構や一部の思想家が操作して煽り立てる傾向があるように感じる。

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