オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ぼくの大好きな一枚のアルバム

 S&G ぼくの好きな曲 ベスト5

 5位 アメリ
 
 アメリカ。みんながこの大陸に何かを求めて集まってきた。自分なりの答えを見つけるために。この歌の中で主人公は、何が何だかわからなくなってしまったことを正直に告白している。この巨大な、そして世界の王たらんとしている国自身も、その時代時代で、何が何だかわからなくなったり、それなりの答えを模索したりを繰り返している。最近では新しい大統領の出現(オバマ大統領)によって、この国はまた新しい答えを見つけるために歩き出したように思われるのだが・・・。

 みんなが何かを求めている国、それはすべての欲求を充たし、満足に浸ることができる場所とは限らないだろう。でも人々はアメリカに期待し、アメリカに何かを求め、そしてあの国に集うのだ。それが仮に幻想や挫折に終わったとしても。あの大陸・あの国に行けば、「希望」「夢」「幸せ」何かを求め続けることができそうだから。
 そして今日も、アメリカの魅力に取り憑かれた人が、かの地に赴いている。

4位 59番街橋の歌

ふとあるメロディーを思い出すということ・・。(谷川俊太郎 「生きる」より)そんな長い節なわけじゃない。鼻歌まじりに口ずさんでいるような感じで、思いついたんだ。短いこの曲を口ずさむと、ご機嫌なポールの気分がこちらにまで伝わってくるから不思議だ。まさしく副題そのものの「フィーリング グルービー」な曲なのだ。

3位 ボクサー

ボクサーを歌った歌と言って、我々日本人が連想する曲は、「あしたのジョー」のオープニング、シルベスタ・スターローンの映画「ロッキー」のテーマ、そして、アリスの「チャンピオン」あたりだろうか?アリスの曲でもS&Gの曲でも、エンディングに「ライラライ」の連呼が続いているのは、おそらく偶然ではないだろう。
しかし、S&Gが歌う主人公は、アリスのそれに比べて、いささか内省的で少々屈折している。最後の一節で彼らは次のように歌う。in his anger and his shame "Iam leaving,Iam leaving" but the fighter still remains ・・・(怒りと恥辱に苛まれながらも、彼は言う。「おれはもうやめたいんだ!やめたいんだよ!」と。だが闘士はまだ闘い続けている。
 アリスの曲は、本物のチャンピオンへのオマージュとして歌われているが、S&Gの曲は、ボクサーという職業や立場を借りて、実は闘い続けているすべての人に向けて歌いかけている曲なのだ。
 

2位 冬の散歩道

 この曲は表題のグレーテストヒットには、納められていない。ポールのギターテクニックが冴える前奏に続いて、タイム、タイム、タイム・・・・冷気を引き裂きながら、ささくれだった言葉が凍り付いた心に突き刺さるかのように連呼され、歌は始まる。
 一人孤独に耐え、木枯らしの中を歩く友に寄り添いつつ呼びかける詩は、この大不況の最中、同じ境遇に身も心も冷え切っている人々への応援歌にもなるだろう。
 But if your hopes should pass away  Simply pretend that you can build them again. (もし あなたの希望がどこかへ逃げていったなら、それをもう一度築くことができるようなふりでもしていればいいじゃないか!)と。

 

1位 早く家に帰りたい

 泣けてくる歌、世の中には確実にそのような歌詞や曲がある。ドボルジャークの「新世界 第二楽章」などは、その最たる歌と言えるかもしれない。ポールが作曲した曲で、どうしようもなく自分の居所が恋しくなる曲、心底安らぎを求めている歌、それがこの「早く家に帰りたい」だ。
 早く家に帰りたいなあ。そこは煩わしい悩みから逃れられるところ、そこは自分の音楽を奏でられるところ、そして愛する人が静かに僕を待っていてくれるところ・・・筆者の場合は、おいしい酒が待っていてくれるところでもあるのだが、毎日の通勤の帰りに、または遠く離れた親族を思う時に、この歌に流れる叙情が心にキュンと沁みてくる。