昨年12月、ネット上にある作曲家の訃報が流された。作曲家の名前は、多田武彦。世の中にその名前を知らない人は多いだろう。しかしながら、一回でも氏による合唱曲を歌ったことがある人にとっては、心に深く刻まれた忘れ難い名前であろう。
広く知られていないのは、氏が作曲するジャンルが特化されていることにおそらく原因する。合唱曲の中でも無伴奏の男声合唱曲を作曲することにおいて、氏は前人未到の足跡を残した。氏の膨大な作業を超えることはこの先不可能であろう。男声合唱団の演奏会では、お決まりのように多田武彦作品が歌われ、タダ節として愛好された。また歌われ続けている。多田武彦なくしてコンサートのプログラムを作るのは、難しい。
合唱曲それも男声合唱曲とは、無縁の生活をしている人が多く、CMやドラマのテーマやらに使われるはずもないわけで、知る人ぞ知る作曲家が多田武彦なのであります。