オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび122

名作を読む70

ローリングス作「子じか物語」を読む。

アメリカの原野や森林が広がる開墾池の中で暮らす家族が、野生動物を撃ち日々の食料とし、畑を獣から守りながら懸命に生き抜いていく物語。子じかとは、主人公の少年ジョディが森から連れて帰り、ペットのように可愛がっていた子じかフラッグのことで、この子じかが一歳鹿になるまでのお話なのだ。

大熊との戦い、生きるか死ぬかの命を懸けた父親の狩りをメインに話は綴られる。最後はもう家で飼うことはできなくなつた子じかを撃たなければならない、悲しいけれども乗り越えなければならない場面で話が閉じられる。

野生の熊が出没するとニュースになる。猿なども同様だが、それだけ野生の動物とは、縁がない世界で都市の市民は暮らしているということだろう。昔なら怪しい者が近づいてきたら、吠えて追い払ってくれた犬も、今は誰にでも懐いてしまいそうだし、猫だってペットフードを舐めているだけで狩りをしている気配はない。

安全安心とも言えるが、同時に何とも緊張感のない生活になってしまったのだ。私の近所では果樹を荒らすハクビシンがすっかり悪者になっているが、元はと言えば、人が他所から持ち込んだ生き物である。

自然との付き合い方がわからないまま、暮らしていいのだろうか?そうは言っても狩人に戻るわけにもいかないけれど。