一応は私も地方公務員の末端=教員のくせに、官僚という人種と仕事上はあまり上手くお付き合いできなかった。教育に関して体験的に言えば、行政と教育現場の間には埋め難いギャップがあると感じている。
ギャップを生んでしまう原因の一つが「自分が思い描いているプランがどういう過程を経て実現するか」ではないだろうか? 教員の場合、自分が関わっている子どもたちのために「こんな授業をしてみたい」と思ったら、それは部分的にはすぐ明日にでも実行可能なのだ。教員は学級王国になる弊害はあるが、小さな船の船長なのだ。
けれど官僚は、そうやすやすとはいかない。本書にも詳しく書かれているように、それぞれのポストにそれぞれの権限があり、それらを飛び越すことはできない。さらに行政は絶えず政治と緊張関係にあるので、霞ヶ関の場合なら国会の動向が視野に入っていなければ、ちゃぶ台返しを食らってしまう。なんとなくあの大臣がモデルだろうなぁと容易に想像がつく政治家が登場するのも、本書の魅力である。
もう一つは、プランかな。(次回へつづく)