オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび361

名作を読む87

ドッジ作「銀のスケートぐつ」を読む

 


父親が事故で記憶と体の自由を失ってしまった家庭の話。やがてあるお医者様との出会いを通して、父親は手術を経て快方へ向かう。タイトルである銀のスケートが商品となったスケート大会を絡めながら、話はハッピーエンドに向けて滑走する。

作者はアメリカ人ですが、物語の舞台はオランダです。オランダは日本とは鎖国当時と交易を続けていた国として、歴史の授業に登場するわけですが、本国の事情は当時はネーデルランド共和国連邦が成立したばかりだったのですね。けれどもその頃の経済発展はめざましく、個人的には商人の国というイメージがあります。

話をストーリーに戻すと、主人公の家庭は確かに貧しいけれど、でも身分制度が厳格な国のような差別はない。代わりに経済的な貧富の差が置き換わってしまっている感じです。

平等という堤防は、ほんの少しの差異という穴から水が漏れ始めるので実に保持が難しい。学校の教室での経験では、均質性が高く同じ物差しで測りやすい集団ほど、ちょっとした差異に目を向ける傾向があると感じています。