オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび244

原彬久「吉田茂」を読む1

 

白馬に跨り、外務省へ登庁!寺内総理に秘書官を命じられて「総理大臣は務まりますが、総理大臣秘書官は務まりません」との暴言。もちろん、秘書官にはなってない。これらのエピソードに吉田茂の生意気なキャラが集約されている。そして思い込んだら頑として、一人で走り始めてしまう人なのだ。

私は藤沢市辻堂にある八松小学校を卒業している。線路を北側に跨ぐと羽鳥という地域があり、そこからも友だちが来ていた。吉田茂はその羽鳥にあった耕余義塾で学んでおり、同塾からは明治大正昭和にかけて活躍した人がたくさん出ている。もちろん教育内容が素晴らしかったのだろうが、この辺りの土地の気候が実に温暖快適で、才能を育むのに適しているためと感じている。

さて、一人で走り始めてしまうのは、奉天の領事館に勤めていた時の中国に対する強硬な考え、日独防共協定に反対した英国大使時代、そして戦前戦中を通して米英との戦争を避ける工作、最後はそれで投獄を経験してしまうのだが、思い立ったら止められない=どうにも止まらない性行が表れている。軍部と天皇側近・内閣が悉く対立し、政治家が軍部に対して、真っ当な意見を言えなくなっていく過程は、本書でもよくわかる。2.26事件の時、湯河原温泉で牧野家や吉田茂の三女が襲われた様子など、私も湯河原で現場の跡を見た気がするのだけど、全く大変な災難だったと思う。(つづく)