名作を読む3
クオレを読んで今の学校のことを少し考える
トリノに住む小学校4年生エンリーコが、友だちや学校の先生のことを綴った日記という形式になっている。月毎に章が立てられているが、毎月の終わりに先生の話という物語がおまけのように付いていて、有名な「母をたずねて三千里」もそのうちの一つ。
主人公エンリーコは、友だちの優れたところや困ったところをよく観察していて、自分を見つめる鏡としているかのようだ。
日本中どこの教室でも、今はお決まりのように学級目標が掲げられ、帰りの会では友だちのよかった行いを振り返るコーナーがあるのだが、そして私自身もそうしてきたのだけど、一年間を同じ目標で、毎日同じようなことを褒め合うことに時間を割き過ぎているのではないだろうか?
日々その場その授業で、その子のよさを見つけ、あるいは成長のための課題に気づかせることを並行して続けないと硬直化した子どもの見方に陥ってしまう気がする。こういうのを俗に老婆心と言うのでしょうけど。
それにしても、エンリーコを取り巻く友だち、そして先生は、何と信頼と愛で結びついた関係であることだろう!理想論と言われようが、見失ってはならない教育の大切な使命がこの物語には刻まれている。