オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび26

名作を読む5

日なたが丘の少女を読む。

ノルウェーの作家ビョルンソンの作品が、今、日本でどのくらい読まれているか、よくわからない。

最近子どものために訳された物語を読んでいるが、そこには大人向けの小説では出会えないピュアな心が息づいている。

主人公トルビョルンは、直情径行の、ま、平たく言えば喧嘩っ早い青年で、失敗ばかり繰り返してしている。ヒロインのシンネーベは、そんなトルビョルンに愛想を尽かさず、むしろ愛を募らせている。

現実的に考えれば、そんな男はさっさと袖にして、玉の輿に乗ればいいのだろうが、そこがこの純愛物語のキモなのだ。

一途な思い。そんなピュアな感情はとっくの昔に忘れてしまった大人たちには、子ども向けの他愛無いお話に過ぎないかもしれない。でもこれが、いい歳こいて読んでみると、意外なくらいココロにキュンと染みてくるんですね。

55年前世界の名作文学に収めた理由には、当てはまらないだろうけど、愛の強さは人類にとって普遍的な主題なのですね。きっと。