オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2024-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび621

蛭子能収「ひとりぼっちを笑うな」を読む1 この本は蛭子さんが67歳の時に書かれた本で、私も今67歳。振り返ればそれなりの足跡は見える年頃です。 第一章は「群れずに生きる」。蛭子さんが、他人とどのように距離を取っているかを語っている。旅番組で他のメ…

オヤジのあくび620

大野一雄「舞踏譜」を読む 何だかよくわからないから読み始めたのに、読むほどに余計わからなくなってしまうようだ。例えれば音楽を言葉で言い換えることが結局は不可能なように、舞踏も言葉に置き換えることが困難なようだ。生命、宇宙、胎児、様々な言葉で…

オヤジのあくび619

森直実「大道芸人」を読む 凡人の予想をはるかに上回る凄い芸人、野毛大道芸で活躍したパフォーマーが次から次へと登場する。しかも彼らの紹介文を執筆しているのは、名のある作家たちなのだ。一人ひとりの列伝の中に命を張った芸に賭ける生き様が見て取れる…

オヤジのあくび618

畑中圭一「紙芝居の歴史を生きる人たち」を読む2 画家の佐藤正士良氏の聞き書きでは、氏が戦前東宝映画で働いていた話が出てきて、遠近法やモンタージュなど映画から影響を受けた技法が紙芝居の絵にも活かされていると語る。話の中には武部本一郎の名前も出…

オヤジのあくび617

畑中圭一「紙芝居の歴史を生きる人たち」を読む1 ボクは20代の頃、児童演劇評論家 富田博之氏のところで児童劇用の脚本を勉強していた時代があるのですが、その頃紙芝居について富田氏が「戦争中の活動について、戦後きちんとした総括がなされていない」と発…

オヤジのあくび616

菊池清麿「評伝 服部良一」を読む3 朝ドラのタイトルにもなっている「ブギウギ」のリズムは、戦中上海に渡っていた服部良一が李香蘭のステージですでに使っていた。まるで戦後の音楽を預言するかのように。 そして笠置シヅ子がステージ狭しと踊り歌った「東…

オヤジのあくび615

菊池清麿「評伝 服部良一」を読む2 戦前の良一作品を代表する曲が、昭和12年淡谷のり子による「別れのブルース」。低いGから歌い出すため、本来コロラトゥーラソプラノの淡谷のりこは一晩中タバコを吹かして低く魂がこもった声が出るしたという。ボクサーの…

オヤジのあくび614

菊池清麿「評伝 服部良一」を読む1 朝ドラで「梅丸少女歌劇団」が華麗なダンスを披露していたように、大阪は今も昔とエンターテイメントの街だと思います。日本初のジャズバンドは、井田一郎さんによるラフィングスターズで、大阪・神戸にジャズの音色が響き…

オヤジのあくび613

石濱匡雄「インド音楽とカレーで過ごす日々」2 カレー好きの方には、当たり前のことなのでしょうが、インドのカレーと言っても地方毎に味の特徴が違う。コルカタはアッサム茶やダージリン茶の本場だから、チャイを飲みながら人と語らう場面がたくさん登場す…

オヤジのあくび612

石濱匡雄「インド音楽とカレーで過ごす日々」1 楽器や音楽との出会い方は、人さまざまでしょう。ボクは琵琶という今の日本ではマイナーな楽器に関わっているので、なぜ琵琶をやっているのか? 尋ねられることがあります。石濱少年の場合は、中学の頃からギタ…

オヤジのあくび611

柳家花緑「落語家はなぜ噺を忘れないのか」を読む タイトル通り、噺の覚え方・練り上げ方が書かれています。花緑さんのスタートはノートへの丸写し。18歳の頃志ん朝師匠に教わった「愛宕山」は語り口をそのままノートに写して読んでいたといいます。20歳にな…

オヤジのあくび610

米山文明「声の呼吸法」を読む 以前米山先生の「声と日本人」を読んで、オヤジのあくびに投稿した気がします。(何だか記憶がごちゃごちゃしていますが・・)あとがきでは、その延長線上に本書を書きましたとおっしゃる。より実践的な方向に進展させて・・との…

オヤジのあくび609

茂木健一郎・羽生善治「ほら、あれだよ、あれ」がなくなる本を読む。 脳はその人がチャレンジできるギリギリのものに挑戦している時が、楽しいのです。 確かにボクのことで言えば、仕事を辞めてボーッと毎日を過ごしていると、つまらなくなってしまい、また…

オヤジのあくび608

なだいなだ「とりあえず今日を生き、明日もまた今日を生きよう」を読む くねくね道のように、長い時間かけて移動していた距離が、飛行機や新幹線の利用によりすごく短縮されている。調べ物だってだいたいのことでよければ、パソコンやスマホでわかってしまう…

オヤジのあくび607

有田秀穂「脳からストレスを消す技術」を読む 涙の数だけ強くなれるよ〜という歌があった。この本の中身を言い当てているような歌詞なのです。 筆者によると二大ストレスとは、まず「依存症」=快楽が途切れることから抜け出せない状態。アルコールで考えれば…

オヤジのあくび606

宮本延春「オール1のおちこぼれ、教師になる」を読む オール1。相対評価だった時代の5・4・3・2・1は、全体の数%の子に1が自動的に付けられる仕組みになっていて、人の可能性を引き出す方法とは言えなかった。ボクも相対評価の時代に仕方なく数人の子に1を付…

オヤジのあくび605

「君たちはどう生きるか」を観て 戦争の最中、入院していた母親を亡くしてしまう主人公。燃える街の映像は高畑監督の「火垂るの墓」を思い出す。宮崎監督は、おばあちゃんキャラがお好きなようで、今回もすごい声優陣が屋敷で働くおばあちゃんたちの声をアテ…

オヤジのあくび604

鎌田實「○に近い△を生きる」〜「正論」や「正解」にだまされるな を読む この本の冒頭はかなり衝撃的で、18歳の著者が大学進学を巡って父親の首を絞める場面から始まる。別に殺人は至らず、進学は親の支援なしではあるが果たされて、著者は自由を獲得したと…

オヤジのあくび603

千葉雅也「勉強の哲学 来たるべきバカのために」を読む 本書のはじめに「来たるべきバカとは、新たな意味でのノリを獲得する段階である」と書いています。道具的な言語使用から玩具的な言語使用へ。漫才のツッコミとボケがアイロニーとユーモアに対応してい…

オヤジのあくび602

布施克彦・大賀敏子「なぜ世界の隅々で日本人がこんなに感謝されているのか」を読む 本書に初めに登場する国は、マーシャル諸島。アメリカによる核実験の影響を受け、日本の第五福竜丸が被爆したことで知られる。最近では温暖化による海面上昇の影響が深刻だ…

オヤジのあくび601

隈研吾「なぜぼくが新国立競技場をつくるのか」を読む 隈さんは、ボクより二歳年上で東京オリンピックを二回経験している。だから丹下健三さんの設計による代々木の第一第二体育館のデザインから強い衝撃を受けた世代なのだ。 新国立競技場を始めとして、隈…

オヤジのあくび600

養老孟司・久石譲「耳で考えるー脳は名曲を欲する」を読む 環境と音楽について語り合っている箇所があり、日本で組み立てたパイプオルガンの調整が大変な話が出てくる。西洋音楽の響きは、乾ききった石造ホールで育まれたものだ。アカペラだって合唱だって、…