オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

読書

オヤジのあくび678

エリック・ルーセル著、山口俊章・山口俊洋訳「ドゴール」を読む2 チャーチルにファシスト・独裁者的な雰囲気を指摘されているドゴールは、ソ連とも接触しつつ共産主義者が大勢いるレジスタンスを鼓舞しなければならなかった。戦後壊滅的な被害を受けたフラ…

オヤジのあくび677

エリック・ルーセル著、山口俊章・山口俊洋訳「ドゴール」を読む1 愛国主義って何だろう。ドゴール伝を読み進めながらこの問いについてボクなりに考えてみたい。 ドゴールのゴールとはガリアの意味があると言う。カエサルの戦記にあるように現在のフランスは…

オヤジのあくび676

高遠弘美「物語 パリの歴史」を読む2 本書の中でも、かなりの分量を割いて書かれているのが、フランス革命とその後のナポレオン。思い出せばフランス革命を「やばい」と感じた周辺国がちょっかいを出そうとして、逆にナポレオンに攻められてしまったのでした…

オヤジのあくび675

高遠弘美「物語 パリの歴史」を読む1 オヤジのあくび674でシャルルマーニュの本を読んだのですが、彼はエクス・ラ・シャペル(アーヘン)を中心に活動していたので、パリの話があまり出てこない。はて? ヴァイキング(ノルマン人)による侵攻からパリを守った人…

オヤジのあくび674

ロベール・フォルツ 大島誠編訳「シャルルマーニュの戴冠」を読む2 世界史のおさらいです。ローマにはカトリック教会の頂点に立つ教皇がいらっしゃる。一方ローマ帝国は、テオドシウス1世の時に皇帝がコンスタンティノープルに移り、ビザンツ帝国とか東ロー…

オヤジのあくび673

ロベール・フォルツ 大島誠編訳「シャルルマーニュの戴冠」を読む1 初めて習うものにとって、ドイツ語とフランス語は大きく異なっている。ドイツ語が西ゲルマン祖語から長い時間をかけてドイツに浸透して知ったのに対して、フランス語は、ざっくり俗ラテン語…

オヤジのあくび672

安田祐輔「未来が変わる勉強法」を読む キズキ共育塾では、そのまま学校の先生を続けていたら、まず体験できなかったようなケースにいくつも出会いました。予定通りに生徒が現れないということもありまして、生徒が来ないのでその合間にこの本を読んでいるわ…

オヤジのあくび671

鈴木康久「西ゴート王国の遺産」を読む2 外国に門を閉ざし、国内がほどほどに平和であると、国を防衛する力を衰えてしまうようだ。江戸時代のベリー来航時がそうだったし、イスラム勢力が入ってきた時の西ゴート王国もそうだった。711年滅亡。 イスラム勢力…

オヤジのあくび670

鈴木康久「西ゴート王国の遺産」を読む1 ピレネー山脈より西、現在スペインやポルトガルがある地域の歴史は、イスラム勢力とカトリックが入れ替わったり、国の名前もコロコロ変わって、単線型ではない。本書はケルト(セルト)人と原住民のイベロ人の混血であ…

オヤジのあくび669

高田康成「キケロ」を読む 「ローマの雄弁の最高の父」であり、同時に「軽佻浮薄な不幸な老人」でもある。いったいこの真反対な言われようから人々は、どのようなキケロ像を描けばよいのだろう。 まずは雄弁家としてのキケロ。スッラから逃れるようにギリシ…

オヤジのあくび668

橋場弦「古代ギリシアの民主政」を読む3 アテナイを細かく分割された単位が区。この区に区民会という会議があり、国家レベルで論じられる軍事・外交以外の生活上のほとんどの問題が論じられていました。国との関係は大きな歯車と小さな歯車の組み合わせで考…

オヤジのあくび667

橋場弦「古代ギリシアの民主政」を読む2 陶片追放によって国外へ追放された人は13人。従来は僭主の出現を防ぐためと言われてきたが、本書では有力貴族同士の破滅的な対立を防ぐためという説を掲げています。なお国外追放は永久ではなく、再び戻ることができ…

オヤジのあくび666

橋場弦「古代ギリシアの民主政」を読む1 始めに、成文法を定めて公正な裁判が可能になったクレタ島や声の大きさが採決に影響した(=ヤジ?)民主政とは言い難いスパルタの例が語られる。一つの制度を定めるとそこに安住し硬直化してしまうのは、現代もまったく…

オヤジのあくび665

ハイディ・グラント・ハルパーソン 児島修訳「やってのける」を読む 序章でラディッシュを使った実験で我慢を強いられ、苦いラディッシュを食べさせられた被験者は、自制心を消耗していたという記述が出てきます。ストレスが多い環境に居続けると人は自制心…

オヤジのあくび664

大塚ひかり「くそじじいとくそばばあの日本史」を読む この本で取り上げられている人々は、ご長寿です。ほとんど神話の世界の住人はともかくとして、意外なほど昔の平均年齢が高かったことに驚いてしまう。現在定年を70歳に引き上げようという論議が出ている…

オヤジのあくび663

鈴木鶴子「江藤新平と明治維新」を読む4 西郷隆盛が政府から去ることに、大久保は、なぜ平然としていられたのだろう。お膝元の近衛兵を統括していた元帥は西郷隆盛その人で、実際西郷隆盛が鹿児島に帰ると同時にかなりの兵が帰郷してしまう。しかし、すでに…

オヤジのあくび662

鈴木鶴子「江藤新平と明治維新」を読む3 どの時代にも立場や人間関係を利用して、私腹を肥やす者がいて、最近も政党の不正会計を正す論議が立法府で行われている。江藤新平の時代には、それは薩長閥の要人でありそれにぶら下がる商人たちであった。江藤新平…

オヤジのあくび661

鈴木鶴子「江藤新平と明治維新」を読む2 話は江戸城無血開城から。西郷隆盛と勝海舟の会談で決まった史実は有名ですが、その裏側で江藤新平が奔走していた話は、この本で初めて知りました。日本が内戦状態に入れば英仏の思うツボとなることを恐れて走り回っ…

オヤジのあくび660

鈴木鶴子「江藤新平と明治維新」を読む1 江藤新平は著者の大伯父でして、逆賊扱いされてきた新平への思いが著作のエネルギーになったと思われます。 新平は、佐賀弘道館で大木喬任や副島種臣と知り合う。当時の弘道館では、水戸学を取り入れた国学を講じてい…

オヤジのあくび659

片野ゆか「動物翻訳」を読む2 宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」でアオサギが話題になったが、本職に登場する動物は、アフリカハゲコウ。知らない鳥だったので少し調べると、腐肉を食べる大型鳥らしい。 担当者のミッションは、フリーフライト。つまり大…

オヤジのあくび658

片野ゆか「動物翻訳」を読む1 プロローグを読むと、変化のない単調な生活を送っていると飽き飽きしてしまうのは、人間も動物園の飼育動物も同じこと。環境エンリッチメントという飼育動物の幸福な暮らしを実現するための方策が模索されるようになったとあり…

オヤジのあくび656

栗山英樹「栗山ノート2」を読む 「栗山ノートを読んだら、古典を読まなくてもいいね」と先輩から言われたエピソードが登場します。この本の目次には名言・格言が並んでいます。野球監督としての判断が何に支えられていたのか? が垣間見える趣向なのです。少…

オヤジのあくび655

養老孟司「ものがわかるということ」を読む 養老先生が大学生の頃、家庭教師で中学生に数学を教えていた経験から「なぜやらなきゃならないのか、よくわからないけれど、なにしろやるしか仕方がない。」ことがあると本書は始まる。 情報社会とは、言葉や記号…

オヤジのあくび654

橘玲「テクノ・リバタリアン」をkindleで読む 序章において、著者は、保守とリベラル・共同体主義とリベラリズム・功利主義と市場原理の否定・・様々な対立軸を提示しながら、タイトルにもなっているテクノ・リバタリアンの輪郭を浮かび上がらせている。保守…

オヤジのあくび653

藤岡換太郎「フォッサマグナ」を読む2 フォッサマグナと言えば、糸魚川〜静岡ラインと思っていたのですが、これはあくまでも西側のラインらしい。しかもフォッサマグナの北側と南側では地質が違っていて、北側(大雑把に言って諏訪湖より北)は、日本海のでき…

オヤジのあくび652

藤岡換太郎「フォッサマグナ」を読む1 本書は地質学の本なのですが、最初に登場するのは若きドイツ人ナウマンです。あのナウマンゾウに名前を残している科学者は地質学者だったのですね。ミュンヘン大学で学び20歳で博士号を取得したナウマンは、お雇い外国…

オヤジのあくび651

坂本龍一「音楽は自由にする」を読む2 坂本龍一さんは自由劇場繋がりで、やがて鈴木茂に会うのですが、それまで「はっぴいえんど」を聴いたことががなかったと告白しています。正直クラシックバリバリ芸大作曲科卒業の坂本とポップミュージックどっぷりの仲…

オヤジのあくび649

森林貴彦「Thinking Baceball」を読む 序章で「最後はデータよりも感性を優先しよう」という言葉が出てくる。相手投手のストレートを想像以上に速いと感じたら、データではなくストレート待ちであっても変化球待ちに変えてよいと言うのです。「データにおい…

オヤジのあくび648

藤子・F・不二雄「大人になるのび太たちへ」を斜め読みする プロのゲーマー梅原さんがこんなことを言っています。「僕は不器用だから、特にぼくと同じような子には、『諦めることにメリットなんかない。自分がやりたいんだったら、周りが何か言おうと、やり…

オヤジのあくび647

網野善彦「歴史を考えるヒント」を読む 冒頭に日本という国名がいつ決まったのか? という話が登場します。ボクは手塚治虫の火の鳥で天武天皇が国名を決めた描写が出てくることを当てにしていたので、その頃かな? と漠然と考えていたのですが、689年の飛鳥…