オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび402

西岡秀三「低炭素社会のデザイン」を読む 地球温暖化の根源は二酸化炭素であると、その二酸化炭素を閉じ込める手法にC S Sなる方法があると言う。何でも化学物質によって二酸化炭素を分離し、それを取り出して地中や海中深くに閉じ込めるのだとか。あの手こ…

オヤジのあくび401

井上ひさし「ボローニャ紀行」を読む 旅の初めからスリに鞄を盗られる。私も若い頃にイタリアで似たような酷い目にあった事を思い出してしまった。 この紀行文が書かれたのが、2004年頃。ちょうどサッカーセリエAのボローニャで中田英寿が活躍していた時期と…

オヤジのあくび400

鬼頭昭雄「異常気象と地球温暖化」を読む 前半は理科の教科書的に、地球の気候について説明される。ミランコビッチサイクルが紹介され、地球の公転軌道の離心率や自転軸が長いスパンで変動していると説明されると実に宇宙規模の大きな話だと実感できる。現在…

オヤジのあくび399

成長目標とか補助分配だけじゃなくてまず再建3 21世紀が始まってもう20年余りが過ぎてしまった。今から数十年先にシングュラリティーや脱炭素社会が実現したら、世の中はどう変わっているのだろうか? 貧富の格差や戦争・核兵器がない時代が実現しているのか…

オヤジのあくび398

成長目標とか補助分配だけじゃなくてまず再建2 貧乏人のひがみにしか聞こえないだろうけど、人は金持ちを目指して生きているのではない。人は幸せな時間を求めて生きているのだ。幸せの形態や価値観は人それぞれに違いない。その前提に安心安全とある程度の…

オヤジのあくび397

成長目標とか補助分配だけじゃなくて、まず再建1 経済指標を中心に社会の動向を見ようとすると、お金・資産がどれだけ動いたか? が注目される。けれどもそれが一種の拝金主義に陥った理由になっていないだろうか? 手元にお金がなければ何も始められないで…

オヤジのあくび396

笠嶋忠幸「書を味わう」を読む2 くずし字の読み方について、本書は解説をつけてくれている。筆者が書いた軌跡を辿るとわかりやすいと。筆順を追って繋がり方を見ていくのが良いと。繋がり方は次の字へ連続していることがよくあるので、そこがポイントらしい…

オヤジのあくび395

笠嶋忠幸「書を味わう」を読む1 元々文字は象形なのだから、絵は文字のご先祖さまのような存在かもしれない。絵画化した文字遊びや文に添えられた絵を前半では紹介している。文字とはかくあるべしという書き方的な堅い考えから読者を解きはなそうとしている…

オヤジのあくび394

青島広志「作曲家の発想術」を読む 青島広志作曲による演奏を初めて聴いたのは、母校横浜国立大学グリークラブによる「ギルガメシュ叙事詩」だった。なかなかすごい演奏で当時は後輩たちの演奏に感心したものだ。その後著者は教育音楽という雑誌の付録楽譜に…

オヤジのあくび393

ショーペンハウアー「読書について」 私たちが本を読む場合、もっとも大切なのは、読まずにすますコツだ。いつの時代も大衆に大受けする本には、だからこそ手を出さないのがコツである。 似たようなことは音楽にも当てはまる気がする。商業的に成功を収めた…

オヤジのあくび392

ショーペンハウエアー「自分の頭で考える」を読む 「本を読むとは自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。たえず本を読んでいると、他人の考えがどんどん流れこんでくる。・・・自分の頭で考える人にとってマイナスにしかならない。」いやはや、したり顔…

オヤジのあくび391

音楽授業のキモ、それはリズム。 心臓が動いていない人はいない。私たちはいつも心臓の拍動を内に秘めている。内なる拍動から外に向けたリズムへ! 拍動は、バウンドするリズムなんだから、拍と拍の間に音楽がある。日本の宴会手拍子と西洋の指揮者が感じる…

オヤジのあくび390

藤木幸夫「みなとのせがれ」を読む2 港の仕事が大きく変化する時がやって来た。コンテナ輸送のスタートであります。今までは重い貨物を人手をかけて運んでいたものが、巨大なクレーンがとって変わるのだから、労働者・会社経営者にとっては大事件だった。結…

オヤジのあくび389

藤木幸夫「みなとのせがれ」を読む1 話はファミリーヒストリー的に父である藤木孝太郎、さらには祖父や祖母の出自から始まる。横浜で活躍した人の多くが何かを求めてこの地にやって来たように、藤木さんのルーツも淡路島であり、福井県でありました。 港湾労…

オヤジのあくび388

納富信留「プラトン」を読む2 正しいとか、美しいとか、善いとか、現実とは違う次元で離れて存在する。それがプラトンの言うイデア。著者はそれは理想主義や彼岸主義とかではなく、プラトン哲学の現実そのものを見据える破壊力だと言う。イデアについては、…

オヤジのあくび387

納富信留「プラトン」を読む1 「とりあえずこういうことにしておこうか?」そのように言い聞かせないと先に進めないことが、沢山ある。古代ギリシアの人々だってそれは同じでしょう。ところがそこへ「あなたと思っていることは、本当にそれが確かなことなの…

オヤジのあくび386

現役世代? に居候していたい欲 「持て余すほどの、自分で自由に使える時間があったらいい!」日々仕事に追われているとそのような願望に駆られることがある。けれど実際に勤め人を辞めてしまうと、本当に時間を持て余してしまう人がいるようだ。 何年か前の…

オヤジのあくび385

フェリチタス・ムーへ「シュタイナー学校の音楽の授業」を読む2 音・音楽との出会いをどのようにセッティングするか。著者はとても計画的にかつ慎重に用意する。音階、言葉、リズム、音と身体の動きをリンクさせる学習、イメージを豊かにするファンタジーを…

オヤジのあくび384

フェリチタス・ムーへ「シュタイナー学校の音楽の授業」を読む1 直接的には形を捉える事が困難な「熱・光・音・電気」を形而上学の世界から引っ張り出してきたのは、物理学の功績であろう。しかし、それら物理現象が数式で表しにくい人の心や脳にどういう影…

オヤジのあくび383

高秀秀信「元気都市ヨコハマを創る」を読む2 夜景の美しさを売りにしている街は多いけど、2022年現在、横浜の夜景は多くのテレビ局が背景映像として使っているし、時計でもある観覧車やヨットの帆の形をしたインターコンチネンタルホテルがランドマークタワ…

オヤジのあくび382

高秀秀信「元気都市ヨコハマを創る」を読む1 およそ30年前、個人的にはようやく結婚し子どもが生まれ、音楽の先生になってしまった、もとい、やらせていただいた時代が、高秀市政の10年と重なっていた。巨大なサッカースタジアムやみなとみらい地区の建設を…

オヤジのあくび381

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む2 音楽教育の話は、中学校へと移行していく。おっとりと筆を進めていた筆者は、突然自身が中学生に戻ったように、伝統音楽学習や従来型の西洋音楽学習の問題点を指摘し始める。まるで思春期の屁理屈をこねくり回し…

オヤジのあくび380

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む1 音楽が好きですか? と尋ねたら、かなり大勢の人が好きと答えるだろう。では音楽が得意ですか? と聞くと、かなり首を傾げて手を挙げる人が減ってしまうと思う。もっと突っ込んで、学校の音楽の授業が楽しかった…

オヤジのあくび379

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む3 駅弁。現在は駅構内で買って列車に乗り込むスタイルだけど、昔は列車の窓が開いて、弁当の売り子さんを呼べたものだ。また停車時間も今よりは長く、その間にプラットホームへ買いに行くことができたと思う。なぜ変わって…

オヤジのあくび378

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む2 崎陽軒と言えば、売り子さんが真っ赤なユニフォームに身を包み、シウマイ娘と呼ばれている。昭和25年、煙草の宣伝をしていたピース娘にヒントを得た社長は、シウマイ娘を横浜駅の駅等に立てる。その後昭和27年毎日新聞に…

オヤジのあくび377

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む1 若い頃は、仕事が引けると仲間たちと連れ立って、よく飲み食べ、そして歌っていた。そのうちの一軒がN飯店で、シューマイがとてもおいしかった。何でも崎陽軒のシウマイの味を自分なりに研究したとご主人が話していた。 …

オヤジのあくび376

名作を読む95 ホフマン作「くるみ割り人形」を読む 先日読んだゲーテの「君よ知るや南の国」では演劇好きの主人公が、オペラ興行に消極的になる様子が描かれている。この物語の場合はチャイコフスキーによってバレエのための音楽が作曲され、むしろその方が…

オヤジのあくび375

名作を読む94 ゲーテ作「君よ知るや南の国」を読む 原題は「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」というもっとずっと長い物語で、主人公が少女ミニヨンと出会った場面だけを、少年少女向けに抜き出してある。 父の言いつけで商いの旅に出た若者が、行く先々…

オヤジのあくび374

名作を読む93 ルルー作「黄色のへや」を読む さて推理小説の読後感をSNSに投稿するのは、意外に難しい。ネタバレと紙一重なりかねないからだ。推理小説の面白さは最後のどんでん返しに集約されているわけで、そこまで読み切って「あっ」と読者を驚かせる仕掛…

オヤジのあくび373

名作を読む92 ロスタン作「シラノ=ド=ベルジュラック」を読む シラノは、感情の振幅が大きい男だ。自分の鼻の形が醜いと、抜き差し難いコンプレックスを抱えている。剣を手にすれば無双の達人なのだが、相手とやり合うきっかけも自分の鼻を馬鹿にされたこと…