オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび432

斎藤文彦「忘れじの外国人レスラー伝」を読む1 まだ若い頃プロレス好きの同僚と一緒に新日本プロレスを何度か観に行った。場外乱闘になってビックバンベイダーが近寄ってきた時は、正直怖くて、友人を押し倒して逃げてしまった。ごめんなさい。 有名なプロレ…

オヤジのあくび431

堀内隆行「ネルソン・マンデラ」を読む2 本書には、もう一人の主人公がいる。マンデラの妻ウィニーその人であります。結婚した相手がネルソン・マンデラであったことは、彼女の人生を大きく変えてしまいます。そもそも結婚後、マンデラは地下活動に入り公の…

オヤジのあくび430

堀内隆行「ネルソン・マンデラ」を読む1 本書のキーワードは和解。 マンデラは、ガンディーの影響を受けた非暴力主義というイメージで捉えられている時があるけれど、本書ではマンデラの非暴力主義はあくまでも戦術の一環に過ぎなかったとしている。クリスチ…

オヤジのあくび429

野口聡一「オンリーワン」を読む2 いよいよ宇宙へ。空から真っ直ぐに引っ張られる感触、砂利道を普通車でスピードを出して走っていくような横揺れ、7分過ぎになると加速度で3Gの負荷がかかる時間が1分間。8分28秒エンジンが止まり、無重力になる。この瞬間は…

オヤジのあくび428

野口聡一「オンリーワン」を読む1 いわゆる偏差値で入れそうな学校を選んで、受験して入学する。中学高校までなら致し方ない部分もあるかもしれないが、そこから先はそこでなにを学べるか? が、はっきりしていた方がいいと思う。宇宙飛行士になりたい野口さ…

オヤジのあくび427

土屋昭之「老いよドンと来い!」を読む2 寿とは私たちの身体=ボディーなのですが、元々はゼロから生まれたものです。胎内に私たちが生命を宿した時から、無量の栄養を取り入れ、細胞分裂を繰り返し、現在の私たちのボディーとなりました。そこには母親を始め…

オヤジのあくび426

土屋昭之「老いよドンと来い!」を読む1 仏教の本だから当然釈尊の教えが随所に登場する。初めに出てくるのが「世間のモノサシに道理のモノサシを添える」世間のモノサシを服を注文した人の身体、道理のモノサシを仮縫いした洋服に例えている。それから初め…

オヤジのあくび425

竹内一正「イーロン・マスク」を読む2 本書を読んでいて、マサチューセッツ工科大学の「不服従賞」を知りました。既得権益に対して常に闘いを挑み続けているイーロン・マスクの生き方にふさわしいように感じます。 彼の学生時代の専門は物理学で「物理学レベ…

オヤジのあくび424

竹内一正「イーロン・マスク」を読む1 彼の行動は「人類と地球を救う」信念に裏付けられていると言う。電気自動車のテスラにしても、ハイパーループという交通システムにしても、そして火星への移住を見据えたロケット開発も、さらにはAIの進化に人類が支配…

オヤジのあくび423

若松英輔「詩と出会う、詩と生きる」を読む2 本当に そう思わなければ 祈りでは なく 呟きなんだ 岩崎航 全ての思いを動員し、全集中した時に祈りが生まれる。そうか、うわべの言葉や音だけの歌では、何も通じないと改めて気づかされる。 深海に生きる魚族の…

オヤジのあくび422

若松英輔「詩と出会う、詩と生きる」を読む1 著者は平易な言葉を用いて、まるで先生が生徒に諭すようにとてつもなく深く広い世界を案内していく。岡倉天心、中原中也、紀貫之、正岡子規と辿っていくが、各章が一つの授業のように伝えたい内容が、明確な輪郭…

オヤジのあくび421

高齢であることをウリや楽しみにするためには? 自分には若い頃ほどの元気やパワーはない。収入は年金が頼り。自分が積み立てたお金を受け取っているなら後ろめたいことはないが、実は若い世代の稼ぎからいただいている仕組みと聞くと後ろめたい。もちろん金…

オヤジのあくび420

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む5 機械に操作・コントロールされない未来を守るために、メイソンはヒューマニズムを、さらには人間に対する影響を食い止めるための規制が必要だと説く。前の対談者マルクス・ガブリエルが倫理を持…

オヤジのあくび419

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む4 対談の最後に登場するのは、ポール・メイソン。ポストキャピタリズムを著し、注目されているジャーナリストだ。 潤沢な社会の実現によって、今まで資本が投下され利潤を上げていたものが、限り…

オヤジのあくび418

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む3 相対主義は他者を非人間化する! と警鐘を鳴らす。自明の真実をねじ曲げ、他者他国と線を引く。自分は自分、他人は他人という思考が極端化して相互理解など吹き飛んでしまったところに、大きな…

オヤジのあくび417

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む2 こうしてブログを書き込んでいることに、私は搾取されている感覚があまりなかった。けれど私の書き込んだ内容をAIで分析すれば(多分誰もしないとは思うけど)、私個人の傾向や資質が抽出され、結…

オヤジのあくび416

マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む1 最初に登場するのは、マイケル・ハート。ボクもネグリとの共著「マルチチュード」を読みかじって書棚の片隅に鎮座している。冒頭から資本主義は飼い慣らせるのか? と刺激的な発言が出てくる。 …

オヤジのあくび415

水谷修「夜回り先生」を読む 子どもたちの心は、とても柔らかい。硬い殻に包まれてはいないのだ。そして周囲の環境によって大きく揺れ動く。自力ではどのように努力しても乗り越えられない壁を、私は差別だと感じる。多数対一人の構図が多いいじめ、子どもに…

オヤジのあくび414

三谷雅純「ヒトは人のはじまり」 著者は霊長類学者。サルや類人猿の社会や行動を通して見えてくる人間っての本質を探る科学なのだそうだ。 ネアンデルタール人から現代のヒトに移り変わる過程で「文化のビッグ・バン」が起きて、ヒトは言葉を獲得したと言う…

オヤジのあくび413

井上直人・倉内信幸「雑穀入門」を読む 日本では弥生時代に稲作が始まったとされるが、ヒエ・アワはそれ以前から栽培され食されていた。縄文人はヒエ・アワを育て食べていたのである。 ヒエの籾摺り・精白のために登場するのが、搗き臼で「ヒエつき節」この…

オヤジのあくび412

次のリーダーを育てるとは? ボクのリーダー論3 リーダーを育てるシステム 企業でも官僚機構でも、それぞれに形は違えど、次期のリーダーを育てるシステムを持っている。それが組織を維持していく上に欠かせないからだ。 では起業家や政治家の場合はどうなの…

オヤジのあくび411

次のリーダーを育てるとは? ボクのリーダー論2 苦労は大切なのか? 明治維新の立役者、西郷さんは島流しになったり、二人で自殺を図って自分だけが助かったりしている。重荷を背負うて行くが如しの徳川家康は幼少期人質、源頼朝は寺で念仏三昧の日々を送っ…

オヤジのあくび410

次のリーダーを育てるとは? ボクのリーダー論1 リーダーや隠れた才能はきっとどこかにいる? チベット仏教の化身ではないが、生まれ変わった尊い方がどこかにいらっしゃり、その方を探し出さなければならないという考え方がある。 仏の化身に限らず、全くの…

オヤジのあくび409

渡貫淳子「南極ではたらく」を読む 南極で越冬すると言うと、禁欲、節制、苦難・・など様々なイメージが勝手に湧いてきてしまう。けれど筆者のキャラであろう。食材量など制限の多い調理という仕事にも前向きで、隊員に喜んで食べてもらいたいと言う気持ちが…

オヤジのあくび408

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む3 コール&レスポンス。ゴスペルの元祖であるわけだから、呼唱と応唱のやり取りて歌は進んでいく。驚くべきは旋律の即興性でして、やがて訪れるJAZZへの進化を予感させる。本書では即興のルールも読み解かれており、自分…

オヤジのあくび407

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む2 ハーモニーと言えば、ヨーロッパ音楽の最大のウリなので、アフリカに古くからハーモニーを楽しむ文化が息づいていることに驚かされる。そしてハーモニーに親しんでいた人々がアメリカに連れて行かれて黒人霊歌を歌い…

オヤジのあくび406

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む1 アフリカ音楽のリズムは、一定の拍子・拍節感に慣れた感覚で聴くと複雑に聴こえる。いったいシンコペーションなのかポリリズムなのか、はたまた背景にある定量リズムの前でリズムが変化する二重構造なのか? そもそも…

オヤジのあくび405

幕内秀夫「粗食生活のすすめ」を読む 著者によれば「FOODは風土が決める」そうで、日本人は日本が育んできた伝統食を大切にするべし! らしい。 筆者の主たる攻撃対象は、油と砂糖、マヨケソ=マヨネーズ+ケチャップ+ソース。バンのような粉食よりもご飯の粒…

オヤジのあくび404

今枝由郎「ブータンに魅せられて」を読む2 いよいよ「国民総幸福」の話。幸福度は主観的で個人差を伴うものだから、共有できる尺度になり得ない。この概念を1972年に提唱した国王によれは、それはむしろ「充足」であるという。資本主義社会における尺度とし…

オヤジのあくび403

今枝由郎「ブータンに魅せられて」を読む1 ブータンは1970年代まで実質外国人立ち入り禁止、つまり鎖国状態だった。バリでチベット文化を研究していた作者が、ブータンに行きたいと思い立ち、数年にわたる大変な苦労の末に入国し、しかも国立図書館顧問に就…