オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

音楽

オヤジのあくび312

三浦裕子「能や狂言の音楽入門」を読む2 能管という楽器に実際に触れた経験がないのですが、全く不思議な音を奏でる。劇そのものの主題が幽玄とか現世と死後の世界を行き来するストーリーなわけで、なるほど合っている気もする。ヒシギと言われる高音は、縄…

オヤジのあくび311

三浦裕子「能や狂言の音楽入門」を読む1 能。私ごときが言わずとも、劇も舞と音楽が融合した総合芸術であることは誰もが知っている。本書はその音楽部分にスポットライトを当てている。 まず声楽部分の謡。演者が謡う部分と横に座っている地謡が謡う場合があ…

オヤジのあくび252

船山隆先生の「武満徹の音楽と自然」を聴く 明治学院大学の日本近代音楽館からご案内をいただき、船山隆さんの「武満徹の音楽と自然」をYouTubeにて拝聴しました。 武満徹の生涯を、鎌倉に住んでいた当時から追いかける形で、最晩年までを語って下さった。そ…

オヤジのあくび173

セリフのテンポ、語りのテンポ 琵琶を語っていて、師匠からよくテンポのことを指導されている。お恥ずかしい話だが、どうもセリフ(語り)のテンポと琵琶のテンポがチグハグらしい。 琵琶は、拍の動きを感じにくい=拍がない?ところがあって、いわゆる何拍子と…

オヤジのあくび141

タケさんの日本近代音楽史11○賛美歌から唱歌・童謡へ ~日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)~サッちゃん、犬のおまわりさん、小さい秋みつけた、おなかのへるうた、ドロップスのうた…大中恩、中田喜直によるこれらの童謡は、磯部俶の提案により集まった作曲家…

オヤジのあくび140

タケさんの日本近代音楽史10○賛美歌から唱歌・童謡へ~日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)~かわいらしい子どもが、きれいな声で童謡を歌う童謡歌手が、子どもたちにとって憧れの存在だった時代があり、たくさんの子どもの合唱団から多くの童謡歌手が育った。…

オヤジのあくび139

タケさんの日本近代音楽史9 ○賛美歌から唱歌・童謡へ ~日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)~ ~日本の音楽と西洋音楽の狭間で葛藤し続けた人々~流行歌。歌が録音されレコードとなり、ラジオから流れてくる音楽をみんなで口ずさんでいた時代がありました。中…

オヤジのあくび138

タケさんの日本近代音楽史8 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 〜日本の音楽と西洋音楽の狭間で葛藤し続けた人々〜 以前伊沢修二について次のように書きました。「明治のはじめ、日本の音楽教育については、西洋音楽を日本に移…

オヤジのあくび137

タケさんのの日本近代音楽史7 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 〜日本の音楽と西洋音楽の狭間で葛藤し続けた人々〜 西洋風の山田耕筰と日本の雰囲気が漂う本居長世 下 本居という苗字は、歴史の教科書に国学者本居宣長として…

オヤジのあくび136

タケさんの日本近代音楽史6 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 6 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 〜日本の音楽と西洋音楽の狭間で葛藤し続けた人々〜 西洋風の山田耕筰と日本の雰囲気が漂う本居長世 上 赤い鳥の童謡運動の中から「この道」が生まれました。 作…

オヤジのあくび135

タケさんの日本近代音楽史5 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 赤い鳥から始まった童謡運動 「唱歌、校門を出ず」という言葉があります。先生の教え方にもよりますが、教科書の曲よりもテレビから聴こえてくる主題歌や流行歌の…

オヤジのあくび134

タケさんの日本近代音楽史4 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 唱歌づくりの最強コンビ 高野辰之・岡野貞一 小学校に勤めていると「最近の小学校では唱歌を教えているのか?」と尋ねられることがあります。小学校は原則文部科学…

オヤジのあくび133

タケさんの日本近代音楽史3 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 唱歌の生みの親 伊沢修二とメーソン先生 伊沢修二は明治以降の教育に大きな影響を与えた一人だが、音楽取調掛という役職についていた時代がある。彼が明治14年初版…

オヤジのあくび132

タケさんの日本近代音楽史2 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 フェントンと初代君が代 いわゆる国歌法に「日本の国歌は君が代とする。」とある。当たり前と感じる人が多いだろうが、この法律が制定されるまでは君が代について…

オヤジのあくび131

タケさんの日本近代音楽史1 ○賛美歌から唱歌・童謡へ 〜日本の愛唱歌の歴史を辿る(洋楽編)〜 日本で初めて賛美歌が響き渡った時、人々は本格的に合唱のハーモニーと出会う。 古くは織田信長の時代に宣教師が聖歌を伝え、キリスト教禁教・鎖国後は「オラショ…

オヤジのあくび110

みんなで唱和できる歌を! 朝ドラで古関裕而を取り上げており、例に漏れず毎回観ています。戦前は戦時歌謡(いわゆる軍歌)、戦後は一転して「長崎の鐘」に代表される平和の賛歌。いったいこの変わり身の速さは何なのか? 私が戦前の作曲家として山田耕筰に勝…

オヤジのあくび20

ウミジという歌い方 薩摩琵琶を習っています。琵琶愛好家でも謡や詩吟の経験がある方は、ご存知なのでしょうが、私は合唱畑からやってきた?ので、経験したことがない音やテクニックにたくさん出会っています。 その一つがウミジ。一つの音に一つの母音を基…

オヤジのあくび18

ハーモニカの思い出2 なぜ、ハーモニカが教育現場から姿を消してしまったのか?その理由の一つに吐いて出す音と吸って出す音が交互に並んでいるのが、子どもたちには難し過ぎる!という考えがある。 その点、鍵盤ハーモニカなら息は吐くだけでいいし、タンギ…

オヤジのあくび17

ハーモニカの思い出1 朝ドラ「エール」で主人公がハーモニカを吹いていた。その学校にはハーモニカクラブというクラブがあったようで、そこでも楽しそうに吹いている。 小学校の頃に、単音のハーモニカを吹いた経験がある世代はどこまでだろうか?私は低学年…

よみがえる 美空ひばりを見た!

男声合唱団の帰り道、東西線の中でHさんが美空ひばりの歌声をAIで蘇らせるプロジェクトが進んでいると教えてくださった。美空ひばりは不世出の天才歌手で、恐るべき歌唱技術自在に使いこなす人なので、そんなことができるのだろうか?と思ったが、Hさんが高…

やっぱりサザン、結局サザン7

もはや何でもありだけど。 ほとんどの日本人がびっくりしたのは、2018年12月31日夜23:30頃。 サザンが特別枠的に紅白歌合戦に登場し、ユーミンやサブちゃんと「勝手にシンドバッド」を歌う。(何とユーミンに至ってはチュー付き!)もうありえへん世界が画面に…

やっぱりサザン、結局サザン6

相も変わらぬダブルパーカス サザンのサウンドを特徴付けているのは、やはりダブルパーカスでしょう。決して新しいスタイルではなくて、以前からよくあるロックバンドの編成なんだけれど、何と言っても一人では叩けないリズムが出せるという単純明快な理由に…

やっぱりサザン、結局サザン5

情の桑田と知の原ボー その3 次は原ボー。ご存知横浜では原ボーの実家として有名になった?(もともと有名)老舗天ぷら屋のお嬢さんである。横浜は日本で女子教育が萌芽した街であるけど、地元では横浜女子高御三家という学校がありまして、フェリス、横浜雙葉…

やっぱりサザン、結局サザン4

情の桑田と知の原ボー その2 ちょっとだけ、お二人が育った街や学校のことを書いておこう。桑田のお父さんは、茅ヶ崎駅近くにある映画館を経営していたらしい。高校三年間茅ヶ崎駅をウロウロしていた私は、あの映画館の事か!とすぐわかる。私の方が学年は一…

やっぱりサザン、結局サザン3

情の桑田と知の原ボー この夫婦はコンポーザーとして最強だなぁと思う。桑田はおそらく情の人である。ほとばしる感情が一気に音になり言葉になり、ならない場合は英語を当てはめ、結果セッションを通して曲が出来ていく。原ボーは、きっかけはともかくとして…

やっぱりサザン、結局サザン2

国民的バンド サザンが国民的バンドと呼ばれることがある。セールス的にサザンより上位にランクされているバンドがあるのにもかかわらずですよ。ロックはそもそもは体制的な権力に対する反逆心をエネルギーにしているわけだから、非国民的バンドと呼ばれた方…

やっぱりサザン、結局サザン1

41年前の6月25日サザンのデビューシングル「勝手にシンドバッド」が発売された。当初は、サンバ風のリズムで盛り上がってはいるけど、いささか騒々しい曲という印象でしかなかった。その印象が変わったのは、当時の私の愛読書である少年ジャンプの「すすめ!…

自由な表現者とは?〜40年サザンを聴き続けてきて〜

2018年平成最後の紅白歌合戦は、サザンで終わった。サザンは特別ゲスト的な扱いであったと思うが、完全に紅組 石川さゆり、白組 嵐のパフォーマンスを食ってしまい、サブちゃんは呼ぶし、ユーミンは桑田にチューするし、テレビ画面いっぱいにいつもの紅白歌…

へそ曲がり音楽論 3 教え込まれ、刷り込まれてしまう美しさ

教えてもらわなければわからない音楽は、やはりある。だからこそ日本では公教育で音楽科を教えているし、街には音楽教室がたくさんある。別に演奏に必要な楽譜を読み書きするための知識や演奏技能だけでなく、鑑賞だって決まりごとを知っていた方が、クラシ…

へそ曲がり音楽論 2 聴いたことがない音楽をどう感じるか?

異次元。今までに聴いたことがない音楽は、賞賛されるか?否定されるか?二者択一のリスクを背負っている。ベートーヴェンでさえ、ウィーンの一部市民からうるさがれていたし、今はすっかりスタンダードになっているビートルズでさえ、嫌悪の感情をむき出し…