オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2021-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび248

なだいなだ「ふり返る勇気」を読む。 後にも先にも一度だけだが、N教組の全国教研大会に参加したことがある。その頃も、何故だか音楽を教える先生をやっていて、音楽科の分科会に出たのだけど、いやあーいろいろな考えがあるなぁとそれだけは学んだ。その時…

オヤジのあくび247

野村健・納家政嗣「聞き書緒方貞子回顧録」を読む。2 国連難民高等弁務官に就任した瞬間から、緒方貞子さんは、同時多発的に世界各地で発生した難民支援に取り組むことになる。 クルド難民、ボスニア内戦、コソヴォ問題、チェチェン、ルワンダ・・。とりわけ…

オヤジのあくび246

野村健・納家政嗣「聞き書緒方貞子回顧録」を読む。1 緒方貞子さんは、国連難民高等弁務官やJICAのリーダー=理事長としてのイメージが強い方だけれど、この本の前半では学生から研究者であった時代について語られている。二度のアメリカ留学を通して政治思想…

オヤジのあくび245

原彬久「吉田茂」を読む2 吉田茂の人生は、終戦と同時に外相となり、さらには東久邇宮、幣原内閣に次いで、総理に就任したところで大きな転機を迎える。 この本の副題に尊皇の政治家とあるが、今更言うまでもなく吉田茂は、保守主義者である。マッカーサーの…

オヤジのあくび244

原彬久「吉田茂」を読む1 白馬に跨り、外務省へ登庁!寺内総理に秘書官を命じられて「総理大臣は務まりますが、総理大臣秘書官は務まりません」との暴言。もちろん、秘書官にはなってない。これらのエピソードに吉田茂の生意気なキャラが集約されている。そ…

オヤジのあくび243

森毅「ぼくはいくじなしと、ここに宣言する」を読む 若者に歳をとることへの希望を与えることが、老人の何よりの責務・・冒頭にこのような言葉に出会うと嬉しい。定年延長とか一億総活躍とか言われても、若者のようなパフォーマンスができた時期は過ぎてしま…

オヤジのあくび242

花の60代論! 肉体年齢は、年齢の七掛けとよく聞く。いつの時代と比較するのか? よくわからないけれど、例えば64歳なら19.2を引いて。44.8歳の健康状態だということだろうか? しかし、時間的に64年間を経験しているわけだから、経験値はそれなりに高い。肉…

オヤジのあくび241

矢作直樹「おかげさまで生きる」を読む 著者は救急の現場で、多くの死や蘇生に立ち会ってきた方です。けれども書かれている内容は、お医者さんと言うよりは、お坊さんの説法のようです。 例えば「しかたがない」と言う言葉は、諦めの境地で使うのではなく、…

オヤジのあくび240

岡崎守恭「遊王 徳川家斉」を読む いわゆる名家にはありがちな話なのかもしれないけれど、直系が絶えた場合の安全弁を幾筋も準備しておく。家康の御三家は、七代でストップした後に紀州家から吉宗が将軍となり機能したし、吉宗の子どもたちも田谷家、一橋家…

オヤジのあくび239

大江健三郎「伝える言葉 プラス」を読む。 初めの方で武満徹についてふれている一文があり、この本を読んでみようと思ったわけですが、エラボレーションという言葉を使って、人生を通じて磨き上げること、大江さんにとっては、作家ですから書いた言葉を書き…

オヤジのあくび238

河野裕子「桜花の記憶」を読む。 心の微妙な揺れや動きをキャッチしよう! これは願望に過ぎず、なかなか上手くは捕まえられない。自分自身で自分の心を感じることは予想以上に難しいのだ。 エッセイ集だが、作者の自然体な息遣いが伝わってくる。河野裕子は…

オヤジのあくび237

悠々自適への道 コロナ禍は、私たちにいろいろな意味で発想を転換する機会を与えてくれた。 例えば。毎日満員電車で通勤しなくても、出社しなくても仕事はできること。片道1時間として往復で2時間、この浮いた時間を何に使うか? 通勤に便利な場所に住みたい…

オヤジのあくび236

安西水丸「ちいさな城下町」を読む 村上市の(ぼくも大好きな)〆張鶴、行田市の足袋、栃木県壬生の干瓢、亀山市のローソク・・・その地方自慢の名産を紹介し、且つ食べ飲みながら、お城を訪ね歩く。城下町と言っても、本のタイトルにあるように訪ね歩く町は小…

オヤジのあくび235

15歳という起点 15歳の頃の自分が突然目の前に現れて、50年くらい歳をとっている自分を観察したらどう思うだろうか? かなり想定外だと思う。まず職業としてどんな仕事をしているか? その時期にありがちな権威的な存在への単純な反抗心から、私が最もなりた…

オヤジのあくび234

司馬遼太郎「街道をゆく 北海道の諸道」を読む 司馬遼太郎の本は、よく読まれているし、読むべきとさえ言えるかもしれない。亡くなったオヤジが、昔、何故か「坂の上の雲」を勧めてきたことを思い出す。ちょうど司馬史観とか、世間で言われ始めた頃だったか…

オヤジのあくび233

川口素生「途中下車で訪ねる駅前の銅像」を読む 銅像について思うこと 似ている似てないは、二の次?西郷隆盛の奥さん糸子さんの「うちの人はこげなお人じゃない!」発言は何ともストレートだが、釈迦の仏像やキリスト肖像だって、どこまで似ているのかわか…

オヤジのあくび232

本田宗一郎「やりたいことをやれ」を読む 社員に垂れた訓示を集めたような本である。自分が社員だったら、頑固一徹のオヤジ社長の話をどんな気持ちで聞いただろう? と想像しながら読んでみた。 渋茶一杯で鈴鹿市に工場。どこにバイク工場を作ろうか?考えて…

オヤジのあくび231

斎藤茂太「ゆっくり力」でいい人生を送る を読む 本書の最初に登場するのはガンディー。例の塩の行進のことが語られる。そして「善きことはカタツムリの速度で動く」とくる。 作者斎藤茂太さんは通称モタさん。大歌人斎藤茂吉の長男であり、北杜夫のお兄さん…

オヤジのあくび230

アルノ・グリューン「人はなぜ憎しみを抱くのか」を読む3 本書の後半で、作者は憎しみに対する罰について語る。許さないときっぱり言うことと罰を与えることは違うのだと。断固とした態度を取ることで、自分自身の姿に気づくきっかけになると作者は言う。 例…

オヤジのあくび229

アルノ・グリューン「人はなぜ憎しみを抱くのか」を読む2 権威は服従を強いる。どんな残虐な行為も「自分は命令に従ったまでのこと」で済まされてしまう。丸山真男が戦後「現代政治の思想と行動」で指摘したように、どこにも責任の所在がない仕組みが出来上…

オヤジのあくび228

アルノ・グリューン「人はなぜ憎しみを抱くのか」を読む 自分の中に本来的に持っていたはずの「内なる他人」と対立することから憎しみが生まれると作者は言う。それは、従順を装い親とその背後にある社会に適合し育ってきた日常の世間的な自分。つまり偽りの…

オヤジのあくび227

ダライ・ラマ/相馬勝「ダライ・ラマ 語る」を読む 現在、中国の最高指導者である習近平は、おそらくは毛沢東に比肩する権力を手中に収めている。少数民族に対する圧力が報じられるたびに、ダライ・ラマは毛沢東のことを、どう思っていたのか? 気になってい…

オヤジのあくび226

鈴木松美「あの人の声はなぜ魅力的なのか?」 学校の音楽で教えられている発声は「無理のない自然な発声」ということになっている。合唱部やさらには社会においての一般合唱団の発声もその延長線にあり、ビブラートが過度にかからない正しいピッチが求められ…

オヤジのあくび225

磯田道史「素顔の西郷隆盛」を読む タイトルの通り、西郷隆盛の生涯を追いかけた本なのだが、今まで知らなかった史実と出会えた。それが歴史家が書いた本を読む面白さなのだろう。 鳥羽伏見の戦いの時、錦の御旗を押し立てて官軍となった薩長軍に、幕府軍が…

オヤジのあくび224

「高橋英樹のおもしろ日本史」を読む やりやりの信長より忍耐と我慢の家康の方が演じにくい。負ける勝負をしないから、逃げるのが上手かった宮本武蔵・・・とこんな話が続くわけです。 私が習っている薩摩琵琶にも歴史上の人物が登場する。西郷隆盛、織田信…

オヤジのあくび223

田原総一郎「僕はこうやって来た」を読む 左翼とか右翼とかに括られることを、いざきよしとしない人々は、実存主義系の本にどっぷり浸かっていた時期がある。そんな気がしている。田原総一郎もサルトルやカミュにかぶれていた青年だったらしい。 今やらない…

オヤジのあくび222

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む5 実は三人の鼎談は、もう20年前の話。まぁその間、人類が何とか生き延びたとも言えるかな? 昨年総理が「2050脱炭素社会」を打ち上げた。けれどそれだけでそのスケジュールでいいのか? 地球環境の…

オヤジのあくび221

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む4 ヨーロッパ・イスラムを牧畜民による動物文明とすると、インカ、長江、縄文=足るを知るやさしさの植物文明で欲望をコントロールできると、本書では持ち上げている。しかし、グローバル化が進み、世…

オヤジのあくび220

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む3 新たな土地への移動。大航海時代、新大陸への移動、植民地・帝国主義など、さまざまな歴史があるけれど、ここでは古代ローマ帝国の話。年間降水量によって、農耕が可能か否かが決まるが、それ以上…

オヤジのあくび219

石弘之、安田喜憲、湯浅赳男「環境と文明の世界史」を読む2 日本人は、古来コメを収穫し魚をタンパク源として食べてきた。いったいいつ頃からなのか?という仮説の一つ。 古代5〜6000年前の長江流域に黄河流域の漢民族とは違うコメの文明があった。やがて漢…