オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび533

門馬忠雄 「プロレス酔虎伝」を読む 題名でわかるように、酒をこよなく愛するプロレスラーたちのエピソード集です。ボクシング担当からプロレス記者に担当替えを命じられた著者は、プロレスラーに接近するために、とにかく一緒によく飲んだ。そこでオナラが…

オヤジのあくび532

高坂勝「減速して生きる ダウンシフターズ」を読む。 著者が小売業界にいた頃、業績悪化に並行して指示系統が縦化されイエスマンが増えてきたと言う。翻って教育現場でも業績悪化については検証しづらいが、同様のことが言えそうです。子どもたちに自由の大…

オヤジのあくび531

ウスビ・サコ「アフリカ人学長、京都修行中」を読む 京都特有の本音をストレートに言わず、極めて婉曲的な言い方を著者は京都コードと言う。著者がこの言い回しに苦労した様子が語られる。明日香、奈良、京都と並べて、結局訪れる回数は多いのだけれど、ボク…

オヤジのあくび530

河野太郎「日本を前に進める」 何か期待できそう。経験に裏打ちされた行動や発言から、希望が持てそうな気がしてくる。俊足自慢は置いておいて、ワシントンの大学で国際関係学を学び議員のインターンをしていたことや、帰国後富士ゼロックスに入りテレワーク…

オヤジのあくび529

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む3 教会とゴスペルの章を経て、本はカントリーミュージックへ。郷愁を歌った田舎とはどんなところだったのでしょう? 洋酒好きならバーボンを飲んだことがある人は多いでしょう。トウ…

オヤジのあくび528

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む2 ジャズが生まれた街ニューオーリンズ。この街の成り立ちと黒人が集まる場所=コンゴ広場について語った後、ピアニスト・ゴットショーク(←本書の表記)が紹介される。YouTubeで彼のピ…

オヤジのあくび527

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む1 本はエルヴィス・プレスリーの物語から始まる。サム・フィリップスのスタジオで「ザッツ・オールライト」を歌った時=初めてのレコーディングの様子がいきいきと語られる。そのすぐ…

オヤジのあくび526

中山千夏「蝶々にエノケン」を読む2 今、港南台アカペラシンガーズに元教え子が参加しているのだけど、小学校の頃合唱クラブ以外に演劇部クラブでも私が担当だったと言う。そうだったっけ? 今は遠ざかっているけれど演劇こそは、自己表現の最も有効な手段だ…

オヤジのあくび525

中山千夏「蝶々にエノケン」を読む1 回想録は子役時代からスタート。大きなリボンを付けて、目に留まるようにしているうちに映画の字幕に中山千夏の名前が出るようになったらしい。ストーリーの中では「その他大勢」だから、当時の中山千夏目当てに映画を観…

オヤジのあくび524

佐藤優「君たちが忘れてはいけないこと」を読む 授業は、生徒たちから事前に質問を受けた論点を元に、あちらこちらに枝葉を広げながら、展開されていく。 共産主義は潜在力を使い果たして失敗したけれど、ファシズムには、まだポテンシャルが残されていると…

オヤジのあくび523

小川和久「日米同盟のリアリズム」を読む2 北朝鮮に続き、中国の話題。最近の南シナ海への進出、日本にとっては尖閣諸島を含む東シナ海での動きは、頻繁にニュースで報じられている。筆者は人民解放軍が国の軍隊ではなく、共産党の軍であるところが中国独自…

オヤジのあくび522

小川和久「日米同盟のリアリズム」を読む1 私が住んでいる神奈川県には巨大な米軍基地が二つある。一つはマッカーサーが占領軍司令官として降り立った厚木基地、もう一つは小栗上野介以来、日本の海防の要とも言うべき横須賀であります。他にも鶴見に石油備…

オヤジのあくび521

石破茂「国防」を読む 国民の命を守る。そのために心配し過ぎて心配し過ぎることはないと石破さんはおっしゃる。それが政治家の役割でもあると。 高校の頃、戦○チ(○にカタカナ一字を入れると差別的な響きを持った言葉になります)と呼ばれていた友人がいた。…

オヤジのあくび520

佐高信「電力と国家」を読む 本書の冒頭、網野善彦さんの「領海の外は公海」という言葉が登場する。なるほどパブリックは国の官僚による統治機構の中にあるのではない。福沢諭吉や松永安左エ門、木川田一隆ら、官僚と闘い続けた人々の足跡が綴られる。 昭和1…

オヤジのあくび519

川口マーン恵美「ドイツの脱原発がよくわかる本」を読む 本書を読んで、ぼんやり思うのは、この先も電気に依存した今の生活を維持できるのだろうか? という漠然とした不安。 ドイツが凄い速さで脱原発へ舵を切って、電力供給でどのように供給源のバランスが…

オヤジのあくび518

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む4 5時起きで、川原の露天風呂に入る。山に朝靄がかかり美しい。高野山へ向かう途中では、龍神のドライブインに立ち寄る。檜の香りが店全体をみたしていた。 さて、奥の院。大会社や歴史を彩った大名らの…

オヤジのあくび517

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む3 那智勝浦に泊まり、二日目は熊野三山へ。世界遺産の熊野古道もおいしいところ取り的に大門坂を少し歩きます。ところが朝からの雨、苔むす道を転ばぬようにこわごわ歩いていては感慨が湧くゆとりかない…

オヤジのあくび516

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む2 実際に熊野古道を歩くハイカーが携行するために編まれた本なのですが、自分は観光バスで楽チンかましているツアー客でして、あっ、ここを歩くとこんな感じなのか! という読み方です。 最初はお伊勢さ…

オヤジのあくび515

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む1 断片的ではあるけれど神社については、人生その折々でそれなりの思い出を辿ることができる。 小さい頃の初詣は江ノ電に揺られて凄い人混みの中を鶴岡八幡宮にお参りに行って、破魔矢を戴いてきていた…

オヤジのあくび514

漫画ワンピースが訴えかけるもの 唐突な言い方かもしれないが、ウクライナで起きていることと、ワンピースのテーマは被っている。この漫画は力による現状変更や制圧に対する抵抗を絶えず描き続けていたのだ。魚人への差別、天龍人という特権階級への憎悪、革…

オヤジのあくび513

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽2 集団で音楽を共有する時には、テンポや拍子間が必要になってくる。盆踊りの太鼓、宴会の手拍子だって同じ類いでしょう。でもより一斉に「せえーの!」が必要になってきたのはハーモニーの美しさに気づいてからだと思…

オヤジのあくび512

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽1 衝動的に音を鳴らす。声を出す、叫ぶことが音楽の出発点だとすれば、そこに時間軸の制約はなかったはず。集団で音を共有しようとして初めてテンポやリズムを共通理解する必要に迫られたはずです。けれど音楽の一部は…

オヤジのあくび511

夢や憧れの変遷について 何に憧れて、冒険の海に漕ぎ出していくか? コロンブスやマゼランの時代と現在とではまるで違う。海という未知の世界は、宇宙や深海に置き換わっている。 これは冒険だけではない。今提供されるべき夢とは何なのか? 残念ながらかな…

オヤジのあくび510

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む3 小山内薫がベルリンにやってきて、山田耕筰に真の芸術家として歩み始めるきっかけとなる一言を告げる。作曲とか音楽者へのこだわりから解放された瞬間なのだ。それにしても人は人との出会いにより成長し、変化す…

オヤジのあくび509

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む2 音楽家には、とりわけ作曲家、指揮者、ピアニストには文章が達者な人が多い。作曲家や指揮者は自分自身でお客様へ音を発していない鬱憤がガス抜き的に文章に転化されるのだろうか? 山田耕筰も同様で、軽妙且つ抱…

オヤジのあくび508

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む1 コロナ禍で学校が休校だった頃、朝ドラで古関裕而を主人公にした「エール」が放映されていて、作曲界の重鎮として山田耕筰がでているわけですが、演じていたのが生前の志村けんさんでした。確かに頭髪が寂しい感…

オヤジのあくび507

梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」を読む 話は同調圧力の実験から始まる。おかしいと感じていることに同調してしまうことは、教室内の子どもたちにもある。おかしいと感じるけれど、みんなが黙っているからボクも黙っていよう。筆者が言うように「…

オヤジのあくび506

池辺晋一郎「耳の渚」を読む3 ・映画監督今村昌平さんの「楢山節考」の音楽作りの中で「五線が見える」と指摘された経験を話している。農家でわら打ち仕事をしながら歌う歌。五線が見えるとは、西洋音楽らしさが透けて見えて、農民の作業歌になっていないと…

オヤジのあくび505

池辺晋一郎「耳の渚」を読む2 ・楽譜に書いてある音に忠実であれ! と生前おっしゃっていた朝比奈隆さんのエピソードが出てくる。しかし、朝比奈氏の指揮から著者はベートーヴェンの交響曲で楽譜の指定がないritardandoを見つけてしまう。そして語る。楽譜が…

オヤジのあくび504

池辺晋一郎「耳の渚」を読む1 エッセイというのは、何か書きたいけれど、持久力がない人に向いた表現した方法だと思います。「オヤジのあくび」だってその時その時でそれなりに自分の本心や立ち位置を書いているつもりなのだけれど、長編小説のように延々と…