オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2023-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび539

残る作品、残る演奏 小船先生が横浜国大で講義されていた頃と、私の学生時代は被っていそうなのだが、残念ながら受講した経験がない。教員として初めて着任した横浜市立深谷小学校の校歌が小船先生の作曲であり、当時音楽室の黒板には小船先生の自筆譜が消さ…

オヤジのあくび538

和田美代子「声のなんでも小事典」を読む 小事典となっているが、声に関するQ&Aを71項目列挙して、声に関する疑問や悩みについて解説していく仕組み。ボク的にはつまみ食い的に、気になった項目について手を伸ばしてみたい。 NHKに「おかあさんといっしょ」…

オヤジのあくび537

金井良太「脳に刻まれたモラルの起源」を読む ボクの読書履歴を辿ると、一周回って元に戻って来ました的なところがあって、オヤジのあくびで言うと434〜道徳や倫理関連の本を読んでいる。 モラルファンデーション理論。傷つけないこと、公平性、内集団への忠…

オヤジのあくび536

赤坂英一「最後のクジラ」を読む 監督代行を務めていた時期から話は始まる。えっ、田代さんって監督やっていたの? ほとんどのファンが忘れかけている突然の監督就任とその後の苦闘を著者は追いかけている。シーズン途中で監督が代わるのだからチーム状態が…

オヤジのあくび535

岩田光央「声優道」を読む 著者の名前を聞いてピンと来ない方は、大友克洋のAKIRAで主役金田正太郎の声を演じた人と言えば、通じるだろうか? 教え子がプロダクションに所属していたことがきっかけで、芸能マネージャーと挨拶をしたことが一回だけある。その…

オヤジのあくび534

磯田道史「無私の日本人」を読む 本書は史実に基づいた歴史小説として読めるし、実際登場人物の感情の起伏を書き込むことで、読み手の気持ちを引き寄せることに成功している。 初めは穀田屋十三郎。仙台藩吉岡宿の困窮を救うために奔走する商人の姿を描いて…

オヤジのあくび533

門馬忠雄 「プロレス酔虎伝」を読む 題名でわかるように、酒をこよなく愛するプロレスラーたちのエピソード集です。ボクシング担当からプロレス記者に担当替えを命じられた著者は、プロレスラーに接近するために、とにかく一緒によく飲んだ。そこでオナラが…

オヤジのあくび532

高坂勝「減速して生きる ダウンシフターズ」を読む。 著者が小売業界にいた頃、業績悪化に並行して指示系統が縦化されイエスマンが増えてきたと言う。翻って教育現場でも業績悪化については検証しづらいが、同様のことが言えそうです。子どもたちに自由の大…

オヤジのあくび531

ウスビ・サコ「アフリカ人学長、京都修行中」を読む 京都特有の本音をストレートに言わず、極めて婉曲的な言い方を著者は京都コードと言う。著者がこの言い回しに苦労した様子が語られる。明日香、奈良、京都と並べて、結局訪れる回数は多いのだけれど、ボク…

オヤジのあくび530

河野太郎「日本を前に進める」 何か期待できそう。経験に裏打ちされた行動や発言から、希望が持てそうな気がしてくる。俊足自慢は置いておいて、ワシントンの大学で国際関係学を学び議員のインターンをしていたことや、帰国後富士ゼロックスに入りテレワーク…

オヤジのあくび529

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む3 教会とゴスペルの章を経て、本はカントリーミュージックへ。郷愁を歌った田舎とはどんなところだったのでしょう? 洋酒好きならバーボンを飲んだことがある人は多いでしょう。トウ…

オヤジのあくび528

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む2 ジャズが生まれた街ニューオーリンズ。この街の成り立ちと黒人が集まる場所=コンゴ広場について語った後、ピアニスト・ゴットショーク(←本書の表記)が紹介される。YouTubeで彼のピ…

オヤジのあくび527

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む1 本はエルヴィス・プレスリーの物語から始まる。サム・フィリップスのスタジオで「ザッツ・オールライト」を歌った時=初めてのレコーディングの様子がいきいきと語られる。そのすぐ…

オヤジのあくび526

中山千夏「蝶々にエノケン」を読む2 今、港南台アカペラシンガーズに元教え子が参加しているのだけど、小学校の頃合唱クラブ以外に演劇部クラブでも私が担当だったと言う。そうだったっけ? 今は遠ざかっているけれど演劇こそは、自己表現の最も有効な手段だ…

オヤジのあくび525

中山千夏「蝶々にエノケン」を読む1 回想録は子役時代からスタート。大きなリボンを付けて、目に留まるようにしているうちに映画の字幕に中山千夏の名前が出るようになったらしい。ストーリーの中では「その他大勢」だから、当時の中山千夏目当てに映画を観…

オヤジのあくび524

佐藤優「君たちが忘れてはいけないこと」を読む 授業は、生徒たちから事前に質問を受けた論点を元に、あちらこちらに枝葉を広げながら、展開されていく。 共産主義は潜在力を使い果たして失敗したけれど、ファシズムには、まだポテンシャルが残されていると…

オヤジのあくび523

小川和久「日米同盟のリアリズム」を読む2 北朝鮮に続き、中国の話題。最近の南シナ海への進出、日本にとっては尖閣諸島を含む東シナ海での動きは、頻繁にニュースで報じられている。筆者は人民解放軍が国の軍隊ではなく、共産党の軍であるところが中国独自…

オヤジのあくび522

小川和久「日米同盟のリアリズム」を読む1 私が住んでいる神奈川県には巨大な米軍基地が二つある。一つはマッカーサーが占領軍司令官として降り立った厚木基地、もう一つは小栗上野介以来、日本の海防の要とも言うべき横須賀であります。他にも鶴見に石油備…

オヤジのあくび521

石破茂「国防」を読む 国民の命を守る。そのために心配し過ぎて心配し過ぎることはないと石破さんはおっしゃる。それが政治家の役割でもあると。 高校の頃、戦○チ(○にカタカナ一字を入れると差別的な響きを持った言葉になります)と呼ばれていた友人がいた。…

オヤジのあくび520

佐高信「電力と国家」を読む 本書の冒頭、網野善彦さんの「領海の外は公海」という言葉が登場する。なるほどパブリックは国の官僚による統治機構の中にあるのではない。福沢諭吉や松永安左エ門、木川田一隆ら、官僚と闘い続けた人々の足跡が綴られる。 昭和1…

オヤジのあくび519

川口マーン恵美「ドイツの脱原発がよくわかる本」を読む 本書を読んで、ぼんやり思うのは、この先も電気に依存した今の生活を維持できるのだろうか? という漠然とした不安。 ドイツが凄い速さで脱原発へ舵を切って、電力供給でどのように供給源のバランスが…

オヤジのあくび518

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む4 5時起きで、川原の露天風呂に入る。山に朝靄がかかり美しい。高野山へ向かう途中では、龍神のドライブインに立ち寄る。檜の香りが店全体をみたしていた。 さて、奥の院。大会社や歴史を彩った大名らの…

オヤジのあくび517

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む3 那智勝浦に泊まり、二日目は熊野三山へ。世界遺産の熊野古道もおいしいところ取り的に大門坂を少し歩きます。ところが朝からの雨、苔むす道を転ばぬようにこわごわ歩いていては感慨が湧くゆとりかない…

オヤジのあくび516

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む2 実際に熊野古道を歩くハイカーが携行するために編まれた本なのですが、自分は観光バスで楽チンかましているツアー客でして、あっ、ここを歩くとこんな感じなのか! という読み方です。 最初はお伊勢さ…

オヤジのあくび515

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む1 断片的ではあるけれど神社については、人生その折々でそれなりの思い出を辿ることができる。 小さい頃の初詣は江ノ電に揺られて凄い人混みの中を鶴岡八幡宮にお参りに行って、破魔矢を戴いてきていた…

オヤジのあくび514

漫画ワンピースが訴えかけるもの 唐突な言い方かもしれないが、ウクライナで起きていることと、ワンピースのテーマは被っている。この漫画は力による現状変更や制圧に対する抵抗を絶えず描き続けていたのだ。魚人への差別、天龍人という特権階級への憎悪、革…

オヤジのあくび513

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽2 集団で音楽を共有する時には、テンポや拍子間が必要になってくる。盆踊りの太鼓、宴会の手拍子だって同じ類いでしょう。でもより一斉に「せえーの!」が必要になってきたのはハーモニーの美しさに気づいてからだと思…

オヤジのあくび512

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽1 衝動的に音を鳴らす。声を出す、叫ぶことが音楽の出発点だとすれば、そこに時間軸の制約はなかったはず。集団で音を共有しようとして初めてテンポやリズムを共通理解する必要に迫られたはずです。けれど音楽の一部は…

オヤジのあくび511

夢や憧れの変遷について 何に憧れて、冒険の海に漕ぎ出していくか? コロンブスやマゼランの時代と現在とではまるで違う。海という未知の世界は、宇宙や深海に置き換わっている。 これは冒険だけではない。今提供されるべき夢とは何なのか? 残念ながらかな…

オヤジのあくび510

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む3 小山内薫がベルリンにやってきて、山田耕筰に真の芸術家として歩み始めるきっかけとなる一言を告げる。作曲とか音楽者へのこだわりから解放された瞬間なのだ。それにしても人は人との出会いにより成長し、変化す…